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コームスケールレインボーの飼育のポイントは?宝石の輝きを水槽で堪能しよう!

2025年12月27日

コームスケールレインボー f

 

コームスケールレインボーは、美しい体色と温和な性質で人気の淡水魚です。健康に育てるには、水質管理や適度な水流、バランスのよい餌、相性の良い混泳相手などの基礎ポイントを押さえることが大切です。今回の記事ではそんなコームスケールレインボーの初心者でも実践しやすい飼育の要点をわかりやすくまとめました。

 

 

コームスケールレインボーの飼育ガイド

コームスケールレインボー f

 

赤い宝石を飼いこなすには?

 

 

コームスケールレインボーとは

 

 

その魅力を深掘りしましょう。

 

 

コームスケールレインボーの基本情報

 

 

コームスケールレインボーは、インドネシアのパプア州(旧イリアンジャヤ)に位置するセンタニ湖とその周辺水系に固有で生息する、比較的大型になる美しいレインボーフィッシュの一種です。レインボーフィッシュ科に属し、その特徴的な外見と優雅な泳ぎから、観賞魚として世界中のアクアリストに親しまれています。特にオスは成熟すると全身が赤みを帯び、光の当たり方でメタリックな輝きを放つことから、「レッドレインボー」とも呼ばれることがあります。性質は基本的に温和ですが、非常に活発に泳ぎ回るため、十分な遊泳スペースを確保することが重要です。

 

 

分布と生息環境

 

 

コームスケールレインボーの原産地は、前述の通りインドネシアのセンタニ湖とその流入河川です。センタニ湖は、水草が豊富で透明度の高い弱アルカリ性の水質を持つ、熱帯性の湖です。彼らは主に湖の中層から表層付近を群れで遊泳しており、水生植物の陰や岩陰などを利用しながら生活しています。原産地では環境破壊などにより個体数が減少しており、絶滅危惧種として保護の対象となっていますが、観賞魚として流通している個体は、ほとんどが養殖されたものです。

 

 

コームスケールレインボーの特徴

コームスケールレインボー f

 

目を引く外見の秘密を解説します。

 

外見の特徴

 

最大の特徴は、和名の由来にもなっている「コームスケール(櫛状の鱗)」を持つことです。これは、成熟したオスの体側にある鱗の縁がわずかにギザギザとした櫛状になることを指します。オスは成熟すると非常に鮮やかな光沢のある赤色に発色し、体高が高く、特に背びれと尻びれが伸長し、迫力ある姿になります。興奮時や繁殖期には、その体色は一層鮮やかになり、特に光を浴びた時のメタリックな輝きは目を見張るものがあります。

 

メスはオスに比べて体色は地味な銀灰色~薄いオレンジ色で、体高も低く、ヒレの伸長も見られません。しかし、成熟したメスも控えめながら美しい光沢を持っています。オスメスの判別は容易ですが、若魚のうちは体色の違いがまだ顕著ではないため、体型やヒレの形で判断する必要があります。

 

 

成長の大きさと寿命

 

 

コームスケールレインボーは、レインボーフィッシュの中では大型に分類されます。最大体長は飼育環境下では一般的に10cm~15cm程度に成長します。原産地では20cm近くに達することもあるとされています。寿命は適切な環境で飼育された場合、5年~8年程度の比較的長い寿命を持つことが知られています。長寿を全うさせるためには、良質な水質維持と栄養バランスの取れた餌を与えることが不可欠です。

 

 

コームスケールレインボーの飼育方法

 

健康を維持するポイントは?

 

 

飼育水槽の選び方

 

 

非常に活発で、常に広い範囲を泳ぎ回る遊泳性の魚であるため、体長に対して十分な大きさの水槽が必要です。水槽サイズは成魚の大きさを考慮すると、最低でも90cm以上の規格水槽(約150L~)を推奨します。特に複数匹を群れで飼育する場合(本種は群れで飼育することが望ましい)、遊泳スペースを確保するために120cm水槽を検討するのが理想的です。

 

レイアウトはオープンな遊泳スペースを広く確保しつつ、水草(特に有茎草や浮草)を配置して隠れ家や産卵床となる場所を作るようにします。水温は24℃~28℃(熱帯魚として標準的な水温です)水質はpH 7.0~8.0程度の弱酸性~弱アルカリ性を好みます。原産地に近いやや硬度の高い水を再現できると理想的ですが、日本の一般的な中性程度の水質でも十分に飼育可能です。

 

 

餌の与え方と食性

 

コームスケールレインボーは雑食性で、人工飼料にも容易に餌付くため、飼育は比較的容易です。食性は自然界では、水生昆虫の幼生、小型甲殻類、藻類などを捕食しています。市販されているフレーク状または粒状の沈みにくい人工飼料を主食とします。

 

 

 

色揚げ効果のある餌を与えることで、オスの赤色をより鮮やかに引き出すことができます。栄養バランスを考慮し、週に数回冷凍アカムシや生きたブラインシュリンプなどの生餌・冷凍餌を与えることで、嗜好性を高め、体調を整えることができます。消化不良を防ぐため、一度に大量に与えるのではなく、少量を1日に2~3回に分けて与えるのが理想的です。

 

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コームスケールレインボーの混泳

 

平和な共存のためには?

 

 

相性の良い魚種

 

性質は基本的に穏やかで、同種間で争うことはあっても、他の魚種に対して攻撃的になることは稀です。ただし、非常に活発に泳ぎ回るため、静かに過ごしたい小型魚や、ヒレを齧られやすいエンゼルフィッシュなどのヒレの長い魚との混泳は避けた方が無難です。

 

 

混泳の注意点

ネオンテトラ f

 

口に入るような極端に小さな魚(ネオンテトラの稚魚など)は、捕食されてしまう可能性があるため、混泳は避けましょう。コームスケールレインボーの動きが激しすぎると、他の温和な魚にストレスを与えることがあります。混泳魚は、ある程度動きの速い魚を選ぶ方が、トラブルが少ないです。群れで生活する魚です。最低でも5匹以上の群れで飼育することで、魚のストレスが軽減され、体色がより鮮やかに発色します。

 

コームスケールレインボーの繁殖

 

水槽内で命を繋ぐ方法を解説します。

 

 

繁殖に必要な環境

 

コームスケールレインボーは、水槽内での繁殖も十分に可能です。水質と栄養状態が良好であれば、特別な刺激を与えなくても繁殖行動を見せることがあります。

 

 

 

産卵床は水草(特にウィローモスやマツモなどの細かく密生した水草)や、市販の産卵モップを水槽内に設置します。繁殖を促すためには、通常の飼育水よりもやや軟水でpHが中性~弱アルカリ性の状態が好まれます。定期的な少量の換水を行い、新鮮な水を供給することが重要です。

 

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繁殖時の注意事項

 

 

夜明けから午前中にかけて、水草などに粘着性のある卵を少数ずつ産み付けます。産卵は数日間にわたって継続的に行われることが多いです。

 

親魚は産卵後、卵を食べてしまう食卵性が強いため、産卵を確認したらすぐに卵の付いた水草や産卵モップを別の隔離水槽に移す必要があります。稚魚は非常に小さいため、初期飼料としてインフゾリアや液体稚魚用飼料を与えます。成長に伴い、ブラインシュリンプの幼生などのより大きな餌に切り替えていきます。

 

 

まとめとお勧めの飼育セット

 

 

赤い魚のいる生活をしよう。

 

 

おすすめの飼育用品

 

 

水槽は90cmまたは120cm水槽。強力なろ過能力と水流を作り出せる外部式フィルターまたは上部式フィルター。ヒーターは26℃設定が可能なもので、照明は魚の体色を鮮やかに見せる高演色性のLED照明で、餌は色揚げ効果のあるフレークフードが良いでしょう。

 

 

コームスケールレインボーの飼育のまとめ

コームスケールレインボー f

 

コームスケールレインボーは、その美しい体色、活発な遊泳性、そして比較的丈夫な体質から、中級以上の熱帯魚飼育者におすすめできる魚です。特にオスの赤色が水槽内を優雅に彩る様は、アクアリウムの醍醐味の一つと言えるでしょう。十分なスペースと良質な環境を用意し、その魅力を最大限に引き出して飼育をお楽しみください。

 

 

 

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