ごく一部の種類を除き、熱帯魚は日本の冬を越すことができません。
近年の気候変動により、日本の河川で越冬、繁殖してしまう熱帯魚もいますが、
それはあくまでイレギュラーなケース。
美しく健康に育てるにはやはり、ヒーターやサーモスタットといった保温器具が不可欠なのです。
器具の選び方や、省エネのテクニックなど、冬場の水槽水温管理についてご紹介します。
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ヒーター、サーモスタットの種類
ショッピングの前にまずは、保温器具の種類や特徴をチェックしておきましょう。
○温度固定式ヒーター
「オートヒーター」とも呼ばれます。
水を温めるためのヒーターに、温度変化を感じ取るサーモスタットが内蔵されたタイプです。
最も安価である一方、水温が固定されているため(25度がほとんど)、
魚種に合わせたこまやかな対応ができません。
○温度可変式ヒーター
オートヒーターより割高ですが、温度調整が可能になっています。
ヒーター&サーモスタットの組み合わせより、安価なのがメリット。
ただし、ヒーターカバーを付けられないので(水温調節がうまくいかなくなるため)、
魚が触れてやけどを起こしてしまうリスクがあります。
○サーモスタット用ヒーター
名前の通り、サーモスタットと組み合わせて使います。
ヒーターだけでは温める役割しかないので、入れ続けているとお湯になってしまいます。
そこで水温を感知し、ヒーターのスイッチをオンオフするサーモスタットの出番となるのです。
○サーモスタット
水温を感知するセンサーと、温度調節用の目盛りがついた本体に分かれています。
サーモスタットだけでは加温できないので、ヒーターと組み合わせて用います。
細やかな温度調節ができる一方、コード類が多くなり、
器具が目立って水槽の美観をそこねてしまうのがやや難点です。
価格も最も高額になります。
ただし、ヒーターは比較的消耗度の高い器具なので、オートヒーターを何度も買い替えるより、
ヒーター単体を交換する方が長期的に見れば安上がりになります。
○パネルヒーター
プラケースやペットボトルなどの小さな飼育容器に向いています。
水中には入れず、ケースの下に敷いて用います。
○水温計
加温器具ではありませんが、水温計は必需品。
ヒーターにもサーモスタットにも必ず故障のリスクは存在します。
大切な愛魚が煮魚になってしまう悲劇が起きないよう、水温はしっかりチェックしておきましょう。
○ヒーターカバー
物陰に隠れる習性が強かったり、底面を生活域にする魚の水槽にはヒーターカバーをつけておきましょう。
ヒーターに触れたことによるやけどは意外と多い事故です。
ヒーターとサーモスタットの選び方
最も大切なのは使用する水槽のサイズに合ったワット数かどうか。
ワット数が小さすぎても大きすぎても、電気代のロスにつながってしまいます。
水槽サイズと適合するワット数は、パッケージや販売サイトに書かれているので参照してください。
あとは予算と機能でチョイス。
丈夫で細かな温度調節は要らないと考えるのなら、オートヒーターが手軽です。
「白点病を起こしやすく、30度まで水温を上げる機会が多い」といった事情があるなら、
やはりサーモスタットとヒーターが分かれているタイプをおすすめします。
多少値段が張っても、空焚き防止などの便利な機能がついた高級機種はお役立ちです。
電気代を抑えるテクニック
○断熱材を入れる
水槽の下に発砲スチロールや、エアキャップ、
アウトドア用の銀色のシートなど断熱材を敷いておくと電気代節約につながります。
アクアショップで水槽用の断熱材も販売されています。
背面や側面など鑑賞の妨げにならない場所にも貼っておくとさらにお得。
○ろ過器もケア
フィルターも意外な熱の逃げ道。
外部式フィルターなら本体、排水、給水パイプにも断熱材を巻いておきましょう。
上部はコード、配管の通り穴と若干の換気スペースを除き、ぴったり蓋でふさいでしまいます。
○設置場所を工夫する
玄関や窓際など、冷え込む場所はなるべく避けましょう。
常に人がおり、室温が上がりやすいリビングの壁際がベストです。
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