魚を飼っている人ならいつの間にか水槽内に入れた覚えのない「貝」が発生している経験があるかもしれません。その貝は「サカマキガイ」と言い、購入した水草などに付着して水槽内に入り込みます。
元々は外来種で、猛烈な繁殖力を持ち、寄生虫の宿主になるなど評判の悪い貝でもあります。また、メダカを飼っている人は「貝がメダカを食べてしまうのでは」という心配を持つ人もいるでしょう。
今回の記事ではそんなサカマキガイの生態と、メダカとの相性について考えてみましょう。
この記事の目次
サカマキガイは北米原産だがどこでも生息している
「サカマキガイ」は最初に発見されたのがフランスだったため、「ヨーロッパ原産」と言われることが多かったのですが、ヨーロッパでは化石が見つからないため、現在では「北米原産」というのが定説です。
用水路や湖など流れの少ない水域に多く生息し、日本にも環境を問わずどこにでも生息しています。日本だけでなく、世界中に分布していますが、これは水草などにくっついていた貝がその水草の輸出入などにより世界中に広まったと考えられています。
サカマキガイは左巻きで殻は薄く、呼吸が容易
サカマキガイの殻は「紡錘形」(ぼうすいけい、中が太く両端が細い)となっており、すべてが左巻きです。殻は薄く、ゼリーで覆われているような光沢が見られ、色は茶色や黒など地味な色が多いですが、殻の形態は環境によっても変化します。
2本の触覚が伸びていて、その先端には目があります。「擬鰓(ぎさい)」と言われる器官をもち、これは水中での呼吸に役立っており、加えて肺を使った空気呼吸も可能なため、どんな水域でも水面に口を出せば呼吸することができるようです。
サカマキガイは環境の変化に強く、猛烈な繁殖力を持つ
サカマキガイは環境の変化に強く、水を入れておけば密封した環境でも酸素を取り入れて生きることができます。最大の特徴は猛烈な繁殖力です。
サカマキガイは雌雄同体ですが、交尾もするし、加えて「自家受精(1匹でも繁殖する)」も可能のため、どんどん繁殖していきます。そのため、水草などで持ち込まれた土地に根付いたり、メダカを導入した際にメダカに卵がくっついていたために、水槽であっという間に増えてしまうこともあります。
サカマキガイはメダカを食べてしまうのか?
メダカに卵が付着していたり、水草に付着したりで、メダカとサカマキガイが同居してしまうケースは多々あります。そこで心配なのは「サカマキガイがメダカやその卵を食べてしまうのではないか?」という心配です。
サカマキガイが食べるのは動物の死体や、植物の遺骸、水中の微生物などで、基本的には生きた魚や卵を食べるようなことはしません。むしろメダカの糞などを食べてくれるので、メダカ水槽の美化に貢献すると言えなくもないのですが、しかし。
メダカとサカマキガイの同居はおすすめできない
メダカが食べられる心配がないからと言って、メダカとサカマキガイを同居させるのはお勧めできません。
先述の通り、サカマキガイは1匹でも増えていくので、何もしないでおくと水槽内にあっという間にサカマキガイが充満してしまうということが起こりえます。そのため、サカマキガイを見つけたらすぐに「駆除する」ことをお勧めします。
サカマキガイの駆除方法は?
見つけ次第手で取る、という方法もありますが、やはり手間がかかります。そこでサカマキガイの駆除には「捕獲器」(“貝とーる”など)を使うことをお勧めします。
それはサカマキガイを誘引する薬を容器に入れ、それを水槽に沈めるだけで捕獲できるという優れものです。サカマキガイは夜行性で、夜に活発に行動するので、夜に器を水槽に沈め、朝に回収することがおススメです。
サカマキガイ駆除方法:あらかじめ水草を薬品で消毒しておく
サカマキガイの多くは水草に付着してくるので、水草専用の薬剤で消毒しておけばサカマキガイやその卵をあらかじめ除去することができます。
例えば「水草その前に」という薬品は2リットルの水に溶かし、水草を10分浸して、そのあと水草をよく洗ってから植えると効果があります。
サカマキガイの生態まとめ
サカマキガイはメダカを食べることはありませんが、見た目が悪いなどのデメリットもありますので、基本的には駆除することを考えた方がいいでしょう。こんなに繁殖力が高いと、日本中でどれだけ生息しているのか、考えるだけで恐ろしいですね。
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