夏場はメダカたちの繁殖・産卵の季節。
メダカはどんな条件が揃えば産卵するのか?
産まれた卵はどうやって集めるのかをチェックしていきましょう。
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野生メダカの生態を知る
メダカの繁殖・産卵期は春から秋にかけて。
他の日本産淡水魚と比較して、断トツに長いのが特徴です。
田んぼの畦(あぜ)や用水路のコンクリート化、
冬場は水田を完全に乾燥させてしまう稲作方法の変化などによって、
今や野生のメダカは希少な存在となってしまいました。
しかし、かつてはわき出るようにメダカの大群が見られたものです。
メダカの繁殖期間の長さは、爆発的な個体数を維持するための武器だったのです。
春から秋にかけて、野性のメダカ、
さらにはメダカの天敵であるタガメやゲンゴロウといった水生昆虫は、
さまざまな自然環境の変化をとらえて繁殖のきっかけにしています。
最も顕著な兆候は水温の上昇。
他にも水位、日照時間の長さ、水流といった要素も繁殖のキーになります。
野性メダカは同じように見える小川や田んぼでも、
いるところにはあふれるほどいる代わりに、いないところではまったく姿を見せません。
適切な条件が揃ったところでのみ、爆発的に繁殖する傾向があるのです。
現在、私たちがアクアショップで目にするメダカたちは、
人の手によって累代繁殖・品種改良を重ねられてきたものですが、
やはり奥底の部分に野生の生態を残しています。
自然下の環境を模倣することで、より効率のよい繁殖が可能となるでしょう。
メダカの繁殖・産卵期前に準備すること
メダカの産卵が始まるのはだいたい水温20度以上になってから。
近年は気候変動により寒暖の差が激しくなったので一概には言えませんが、
西日本や関東の沿岸部なら、早ければ3月下旬から産卵が始まります。
この時までに産卵に備えていくつかの準備を進めておいてください。
第一に雌雄を揃えておくこと。
小型の水槽や容器で少数飼育している場合、春になったらすべての個体が抱卵していた、
つまりメスばかりだったということが往々にしてあります。
メスのみの場合、無精卵がお腹に詰まって死んでしまうリスクもあるのです。
春は皆がこぞって飼育や繁殖にチャレンジする時期なので、どのショップも品薄。
あわててオスを買い足そうとしても、なかなか手に入らないことがあります。
オスは早めに確保しておきましょう。
次に底床。
メダカ飼育の場合、何も敷かないのが一般的かと思いますが、
餌となる微生物確保のため薄く赤玉土などを敷いている方もいます。
底に落ちた卵は土や砂利と混ざりやすく、微生物の影響でカビてしまうこともあります。
底には何も敷かないか、採卵用の薄いメッシュのみにしてください。
産卵条件を整える
メダカが産卵にいたる水温のめやすは18~20度、日照時間は10時間。
25度に達するとより活発になるので、
早くから採卵したい方はヒーターによる加温も試みてみましょう。
室内飼育の場合、照明の点灯時間を調節して10時間に近づけてみましょう。
水質も大切です。
古すぎる水だと、せっかく孵化しても稚魚がすぐ雑菌にやられてしまう可能性があります。
新鮮な水をキープしておきたいですし、多めの換水によって繁殖行動がうながされることもあります。
水位は通常より数cm低めにします。
受精を試みてオスがメスを追い回す際、
驚いたメスがジャンプして飛び出してしまう事故を防ぐためです。
フィルターやエアレーションの水流があるとメダカが気を散らしてしまい、
産卵がうまくいかないと指摘する方もいます。
高水温や水質悪化がない限りフィルターやエアレーションを控え目にしてもよいでしょう。
上手な採卵の方法
メダカは早朝、卵をぱらぱらと撒き落とすように産みます。
朝いちばんに水槽をのぞき、その日産んだ卵をすぐ取り出すようにしましょう。
底に小さな目のネットやメッシュ、シュロ皮を敷いておく他、
ホテイアオイのような浮き草も採卵に有効です。
浮き草はアクアショップや園芸店で販売されています。
最もおすすめはホテイアオイ。
根が密生して生えるので、卵をキャッチするのに好都合なのです。
ホテイアオイごと稚魚用水槽に移せばよいだけなので簡単です。
飛び出し事故を防いだり、成魚の隠れ場所にもなったりと、
便利なホテイアオイは必ず用意してきたいところです。
底に敷く素材は上述のものの他、毛糸など飼育者によってさまざま。
水を汚さず、卵をキャッチしやすい素材をいろいろ試して探してみてください。
—育て方の全てが詰まったメダカのすべて—
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