みなさんは「ミツリクザメ」というサメがいることをご存知でしょうか?
このミツリクザメは、海の深い場所に生息している深海魚なんですね。ここで、巷で怖いといわれているミツリクザメについてご紹介しましょう。
ミツリクザメとは?
ミツリクザメは、ネズミザメ目・ミツクリザメ科に属しているサメです。
水深1300メートル以上の深海に住んでいて、世界各地で数は少ないものの発見されています。
日本でも、東京湾や駿河湾などで発見されています。
英語では「Goblin shark」ですが、日本語の「ミツクリザメ」の名前の由来は、イギリスの貿易商アラン・オーストンが相模湾で最初に「ミツクリザメ」を見つけ、これを東京大学三崎臨海実験所に寄贈、実験所の初代所長でだった箕作佳吉(みつくりかきち)から、この名前がつけられました。
姿は顔前面の尖った角状の長い「吻(ふん)」が特徴的です。全長は推定で540cmから617cmで、体色は灰色気味な薄いピンク色。背に小さ目な背びれが2基がり、ほかの部位にもひれが多くあります。
尾びれは上半分が長く下半分はそれに比べ短め。このような尾のサメは底生性のことが多く、泳ぐ速度はあまりないとされています。古代からいるサメの特徴があるので、「生きた化石」とも言われます。
ミツクリザメの捕食方法
このサメの特徴といえば顔にある大きな「吻」ですが、ここには電気受容器を多く備えていて、これが餌を探すときの役に立っています。一見すると吻が尖っているので獲物への攻撃に使えそうですが、実は柔らかいもので、攻撃に使うものではありません。
では、ミツクリザメはどのようにして獲物を捕食するのでしょうか。普通のサメ類では、顎を突出させて獲物を捕まえるのが一般的ですが、このサメはそれを発達させ、非常に高速かつ遠くの方まで顎を出せるようです。
ミツクリザメは深海という特殊な環境に適応進化して、その過程でこのような特殊能力を得たのかもしれません。ミツクリザメが狙うのは基本的に魚類ですが、その体は細長く柔らかで、筋肉も弱いため、速い速度で獲物を追う能力は持っていません。
尾部の蛇行運動によってのっそりと泳ぐ様子が確認されています。つまり、ミツクリザメは餌自体が少ない深海で、泳ぎが得意な魚を確実に捕まえるため、顎をすばやく遠くに出すという変わった手段を獲得したということです。これは、あのカメレオンの捕食方法に近いですね!
カメレオンも、動き自体は遅いから、舌を伸ばして獲物を捕まえています。
ミツクリザメの怖い見た目の理由
ミツクリザメは見た目が怖いと言われています。しかしこれは、深海魚が陸に引き上げられたからことによって体が変化するということもあります。深海にいたミツクリザメが船上で逆さになって吊り上げられることで顎は飛び出し、くちばしのような口は無数の尖った歯が剥き出しになります。
また、体重によって顔が膨らみ、軟らかい体はたちまち褐色になって、大量出血によって全身が赤くなります。これは深海に棲息しているため、水揚げの際に周囲の水圧の変化によって起こるとされています。
深海にすんでいた生物が人間に引き上げられて、なんだかかわいそうですよね。水族館でもまれに飼育されていますが、深海ではないため、たいていは長生きはできません。日本の相模湾で発見された13匹のミツクリザメが「八景島シーパラダイス」に移されて飼育されていたものの、発見からたったの5日ですべてが死んでしまったそうです。そのかわり剥製は世界の多くの博物館で見られます。
深海に住んでいますからねえ
見た目が怖いという、深海に住むミツクリザメについてでした。ミツクリザメの見た目は陸に引き上げられたことが原因で変化して、よりグロテスクなものになるようです。引き上げられたミツクリザメが、陸では5日も持たなかったというのも、なんだかかわいそうな話ではないでしょうかね。
参考記事:ミツクリザメ wikipedia