水槽のお掃除役としての魚は多くいますが、そのなかでもっとも高い掃除能力をもっているのが「タニシ」です。水槽で金魚を飼っている人でも、タニシをお掃除役として入れたいと思う方もいるでしょう。しかし、金魚は口に入るものならなんでも食べてしまうようです。では、金魚の水槽に入れたタニシの運命はどうなるんでしょうか?
貝類の「タニシ」とは?
水槽の汚れ・沈殿物・コケを掃除してくれる生物は多く存在しますが、なかでも有名なのが「タニシ」です。タニシは、ユーラシア大陸・アフリカ大陸・北米大陸、オーストラリアなどの南米・南極を除く大陸の川・湖・その他の淡水域に生息している巻貝です。数センチの黒っぽい殻を持っていることが多い巻貝で、食べ方の幅の広さが特徴です。
物の表面に着いた藻類等を削って食べる「グレイザー」、水底にある沈殿物も食べる「デトリタス食者」、水中の懸濁物も集めて食べる「濾過摂食者」というくらいで、そのためアクアリウムでも便利な存在として使われています。
殻の高さは1cm〜8cm程度で、5cm以下の種が多く、全ての種の殻が右巻きで白色〜淡褐色ですが、表面は暗緑色〜暗褐色の殻皮に覆われていて、藻類・酸化物等がついているので、黒く見えることがほとんど。
雌は交尾で体内受精し、体内で成長するまで保護している卵胎生。育った稚貝を、数個〜十数個産み出します。子貝は4mm〜1cm程で、基本的な構造は親と同じですが、殻の巻き数は親より少なく、親にはほとんどない毛をもつものが多いです。
金魚とタニシの共生は?
アクアリウムで熱帯魚の「住み家」として使用する水槽は、そのままにしているとやっかいな「コケ」が出てきます。コケはなぜできるのかというと、水槽内にコケの栄養素である魚の食べ残しや糞に光が合わさることで、どこからともなくやってきたコケの胞子が成長することで発生します。
ただ、コケができるということは、水槽に生き物が生息できるという証にもなるんですね。アクアリウムのなかでも、特に「金魚」は食欲旺盛のため糞が多いのでコケができやすいとされています。金魚はフナが突然変異したものを観賞用として交配を続けてできた観賞魚で、飼育が簡単なので、世界各国で親しまれています。藻・水草が主食で、30センチメートルくらいまで成長します。現在でも品種改良でいろいろな体色や形態をした金魚が生まれています。
金魚は水槽を汚しやすいので、そのために対策をしなければなりません。水換えではポンプなどで3分の1または2分の1程の水抜き、汚れやすいろ過機の部分は飼育水で洗って、水槽にカルキ抜きをした水道水を抜いた分だけ入れます。コケを処理する方法のひとつには、水槽の清掃役の生物を入れるというものがあります。
水槽の清掃役というのは、水槽内のコケやえさの食べ残しなどを食べてくれる、とても便利な生物です。この生物も同時に飼うというのも、アクアリウムでは普通のケースです。それなら、汚れやすい金魚の水槽にも清掃役の生物を入れようとなりますが、ここで注意することがあります。それは、金魚は「自分の口に入る生物をほとんど食べてしまう」ということです。
そのため、金魚の水槽に金魚よりも小さいサイズの清掃生物であるミナミヌマエビなどを入れるのはNGとされています。そこで、清掃役生物である「タニシ」はどうなのでしょうか。所説はあるものの、金魚とタニシの共生は可能とされています。しかし、金魚がタニシの殻の中に入っている身を「吸って」食べてしまう、まことしやかな?説もあるので、一応注意しておきましょう。
また、川などで採取するタニシは病原菌を持っている可能性もあるので、タニシはアクアリウムショップで販売しているものを購入するほうがよいでしょう。
タニシって大繁殖しない?
ただ、タニシを入れてどんどん繁殖したらちょっとやだなと思う人もいるかもしれません。タニシとよく間違えられるのは、繁殖力がすごい嫌われ者の「スネール」です。タニシは他の貝と比べれば爆発的に繁殖することはほとんどないとされていて、万が一繁殖した時でも、数の調整は容易です。アクアリウムショップでもおすすめされているので、安心して購入してよいでしょう。
共存させると、見た目的にもグッドでは?
水槽の掃除役「タニシ」と、水質を悪化させやすい金魚が水槽内で共生できるのかについてでした。タニシと金魚は、2種類ともかわいい系のフォルムなので、同時に飼育すると見た目的にもいい感じでしょう。それにしても、金魚は口の中に入る生物ならほとんど食べてしまうとは意外でしたね。
一般的には、大きめな生物であるタニシは大丈夫とされていますが、殻の中の身を吸い取ってしまうという説もあったりするとか。これを気にする人は、別の方法を探したほうがよいでしょう。