「生きた化石」ことカブトガニを飼ってみませんか?
デリケートな生き物ではありますが、海水魚飼育の経験があれば、一般家庭でも飼育可能です。
カブトガニの基礎知識と飼育情報をまとめてみました。
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カブトガニの種類
カブトガニの仲間は世界中で4種類しかいません。
まず、日本や中国に生息する「カブトガニ」。
4種の中で最も大型で50cm以上になります。
次に大きくなるのが「アメリカカブトガニ」。
その名の通り、フロリダなど米国東海岸に生息しています。
そして東南アジアにいるのが「マルオカブトガニ」と「ミナミカブトガニ」の二種です。
日本産のカブトガニは天然記念物に指定されているため
(正確にはカブトガニという種ではなく生息地に対して与えられたもの)、
原則として飼育できません。
アクアショップで流通しているのはアメリカカブトガニやマルオカブトガニなど海外産の個体なのです。
よく見かけるのは3cm~7cmほどのベビー個体。
2000円程度で入手できます。
まれに30cmに達する大型個体も販売されていますが、かなり高額です。
ちなみに中国やタイ、インドネシアでは観賞用だけでなく食用にもなっています。
ただし、フグの毒と同じテトロドトキシンや貝毒を持っている場合があるので、
☆になってしまった個体を食べるのは避けてください。
カブトガニの混泳
ガブトガニはゴカイや貝類を食べて生活しているので、
タンクメイトを襲ってしまうことこそありませんが、やはり他魚との混泳は避けましょう。
幼体のうちは腹側を水面に向けて泳ぎ回りますし、成長しても突然暴れ出すように泳ぎ回ります。
またカブトガニは年一回程度のペースで脱皮します。
脱皮直後はとても弱いので、他魚につつかれるだけでダメージになりえます。
カブトガニにとっても、他魚にとっても混泳は避けるべきことなのです。
また、カブトガニは異種間で交雑します。
家庭の飼育下で繁殖まで持ち込むのはとても難しいですが、念頭に入れておいてもよいでしょう。
カブトガニの飼育設備①…水槽とフィルター
一般的な海水魚と同じ飼育設備が必要です。
自然下のカブトガニは淡水に近い汽水域から浅海まで幅広いエリアを移動して暮らしていますが、
水槽で汽水飼育するのはとても困難です。
幼体を購入した場合、60cmレギュラー水槽で飼育できます。
アメリカカブトガニは最大50cmまで成長しますから、最終的には120cm水槽が必要です。
マルオカブトガニ、ミナミカブトガニは20~30cmで成長がストップしますが、
カブトガニは意外と活発に泳ぎ回ることがあります。
将来的に90cm水槽が必要になることを念頭に置いてください。
底砂には目の細かいサンゴ砂を用います。
カブトガニのサイズに合わせ、身体が隠れる程度の厚みで敷いておきます。
カブトガニは1日の9割近くを砂に潜って暮らしているので、
隠れ場所がないと大きなストレスになりえます。
また、サンゴ砂の目が粗いとなかなか潜ってくれません。
餌は活アサリやゴカイ、アオイソメなど。
慣れてくると冷凍のアサリやクリルも食べるようになってきます。
カブトガニの飼育設備①…水温と水質
ろ過器も外部式パワーフィルターなど、一般的な海水魚飼育に準じます。
ろ過機能が貧弱で飼育水が汚れたままだと、脱皮障害を起こすことがあるので注意してください。
底砂の汚れを抑えるため、メインのフィルターに底面式フィルターをプラスするのもよいでしょう。
底面式フィルターは定期的な大掃除が必要です。
砂中の汚れが水中にまき散らされて、急速に水質悪化へ至ることがあるので気をつけます。
野性のカブトガニは冬場、沖合の深い場所で冬眠します。
水槽飼育ではヒーターを入れ、年間を通じて一定の温度にしましょう。
近年は気候変動による海水温の上昇で、カブトガニが大量死する事件が相次いでいます。
エアコンや水槽用クーラーで水温28度を超えないように管理しましょう。
飼育水は人工海水を用います。
目分量で作らず、必ず比重計でチェックしましょう。
夏場は蒸発によって急激に塩分濃度が上がることもあるので、比重計は必須です。
カブトガニ飼育はまだまだ一般的ではないため
「この器具は絶対必要 or 不必要」と断言しにくい部分も多くあります。
プロテインスキマーや殺菌灯といった補助的な飼育用品は、
生体の様子を見ながら適宜追加していってください。