メダカ

メダカが生息地などの問題によって絶滅危惧種に?

2020年3月18日

メダカ f

 

日本で代表的な観賞魚といえば、やはり「メダカ」を思い浮かべるでしょう。メダカは昔から日本人に親しまれてきたわけですが、メダカの生息地について、最近は問題が起きているようです。いったいどういうことなんでしょうか。

 

みなさんおなじみのメダカ

メダカ f

 

淡水魚の「メダカ」は、飼育も簡単なので昔から日本で観賞魚として親しまれてきました。名前の由来はもちろん、目が飛び出しているように大きいことからつけられています。昔の日本ではメダカが各地に川にいたので、身近な魚として親しまれていましたが、全国で名前は統一はされていませんでしたた。このため、メダカの各地方の名前はなんと4680はあり、これは全世界の魚で最も多いそうです。しかし、現在では図鑑の流通でこういった方言名もなくなっていく可能性があります。全長4センチほどと小さい体をしていて、下あごが上あごよりも長い「おちょぼ口」です。

 

メダカの生息地は?

メダカとマツモ f

 

では、メダカの生息地はどこなんでしょうか。メダカは流れが穏やかな小川・水路等にいて、動物プランクトン等を食べて生きています。メダカが産卵する季節と水田が作られる季節は同じなので、稲作と共に生きている「水田の魚」とも言われています。腎機能が強いので塩には非常に耐性があり、慣れさせることで海の水で生活させることもできます。

 

このような体質があるので、洪水によって海へ流されても、河口近くの汽水域にとどまって、その後、流れが弱くなってから帰ることができます。昔の日本ではあの「めだかの学校」でも知られているように、普通の小川でメダカたちが多く生息していました。

 

しかし、1980年代ごろからは各地で減少するようになって、姿を見ることが少なくなってきました。これはやはり農業での農薬の使用、生活排水といった環境悪化、流れの弱い小川が減ったことや、さらに「ブルーギル」などの外来種といった影響があります。メダカは水田のような場所で繁殖することが多く、最近の農地改良での「用排分離」で、水田に入ることが難しくなっていることが致命的で、これがメダカの繁殖数減少に大きく影響しているようです。

 

このようなことから、1999年の環境庁による「絶滅危惧II類」にメダカが挙がり、2003年の環境省には「絶滅危惧種」に選ばれ、これをメディアが大きく取り上げ、各地で保護活動が行われるようになりました。

 

 

無闇な保護活動が問題に

 

しかし、このような活動が新しい問題を起こしてしまいました。メダカの生息地による遺伝的な違いをグループにすると、「北日本集団」と「南日本集団」に大きく別れるそうです。このふたつの集団は、遺伝的に別種のような分化があり、この大きな違いは、少なくても数百万年前からあったとされています。

 

このふたつの分布境界である丹後・但馬地方では、「ミトコンドリアDNA」の遺伝子移入が確認されています。このような遺伝的な違いの配慮をせずに、一部の市町村・市民がこの系統を無視した放流をすることで、遺伝的多様性が減少してしまう、「遺伝子汚染」という問題が起きてしまいます。善意からしたことでも、それが在来メダカたちの生息地を破壊することになるのです。 最近では地域個体群を知った上でのメダカの保護活動も行われていますが、このような保護活動がありながらも、自然のメダカ生息地は消滅しています。

 

神奈川県のメダカは「絶滅危惧1A類」で、これは、ごく近い将来に絶滅の危険性が非常に高い種とされています。このような中で、あの「メダカの学校」発祥の地とされる、小田原市の生息地は奇跡的に残っていたそうです。神奈川県で最後の自然メダカ生息地である価値と、「めだかの学校」発祥地の文化的な価値を併せ持っていて、全国でも貴重な生息地となっていますす。現在では、地域個体群の局所的絶滅が危惧されていて、遺伝的多様性を考慮した保護活動が望まれています。

 

メダカの保護には、「生息地の保全」が第一になり、何も考えない放流はしないことが基本です。

 

 

メダカの保護は知識に基づいて慎重に

 

メダカの生息地についてでした。「めだかの学校」でおなじみのメダカも、最近ではやはり環境汚染などが原因で見られなくなっているんですね。メダカの保護活動もあるんですが、間違ったやり方が問題になっているので、上記のように事前によく調べてから行いましょう。

 

 

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