暑さのピークも過ぎ、人にとっても、ペットにとっても少し過ごしやすくなってきましたね。
さて、今回はカメ、それもミスジドロガメについてご紹介します。
ドロガメ類の特徴は何と言ってもその小ささと丈夫さ、それから種が多いこと。
これらが飼育をお勧めできる最大の理由です。
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蓋をするカメ
ドロガメの仲間は北米から南米まで広く分布します。
ドロガメ科には二つの亜科があり、
ジャイアントマスクタートルやサルヴィンオオニオイガメなどの
オオニオイガメ亜科とドロガメやニオイガメなどをまとめたドロガメ亜科に分けられます。
ドロガメとニオイガメの違いは、腹甲が大型(普通のカメ類ほど)で明瞭な二つの蝶番を持ち、
腹甲を背甲に対して閉じられるのがドロガメ、
腹甲が小型で蝶番はあるものの腹甲を背甲に対して閉じられないのがニオイガメです。
つまり、ドロガメはアジアのハコガメ類やアメリカハコガメのように手足を引っ込め、
さらにふたを閉じることが出来るカメなのです。
カメ類中、最多種の属
ドロガメ属Kinosternonには16種17亜種ほどが知られており、
カメの中では最も種数の多い属となっています。
その中で5種(ミスジドロガメ、トウブドロガメ、
キイロドロガメ、ヒゲナガドロガメ、ザラアシドロガメ)が北米に分布しています。
分布、大きさ、成熟
ミスジドロガメはアメリカ合衆国の固有種でヴァージニア州、
ノースカロライナ州、サウスカロライナ州の大西洋岸側、
そしてフロリダ半島の全域に分布しています。
よく似た種が多いドロガメの中で本種は比較的判別しやすく、
背甲の縦に三本のライン(三筋)が入ることが大きな特徴です。
甲羅の大きさ最大で12㎝で、オスはメスに比べかなり小さいです。
オスは尻尾も長く、上からみると卵型の甲羅をしています。
メスの尻尾は短く、どちらかと言えば小判型をしています。
野生状態のメスでは孵化後5から6年目で甲羅の大きさが70から75㎜程度になってから性成熟をしますが、
早い個体だと29か月で成熟した例があるそうです。
温和なドロガメ
ドロガメ類の中でも特に本種がおすすめできるのは性格が温和なところ。
ドロガメやニオイガメの仲間は結構気が荒く、
複数飼育していると噛みあいをして相手をぼろぼろにすることがあります。
これがミスジではありませんので複数個体で飼育が可能です。
さらにだんだんと輸入が少なくなって高価になっている他のカメ類に比べ、
今のところコンスタントに輸入されており、
カメの中では比較的安価な方に入ります(とはいえ今のところ1万円前後なのですが)
単独で飼育するなら小さい水槽でもいいのですが、
せっかくなのでペアで飼育することにすると、大体60cm水槽が適当です。
浅くしてもいいのですが、水深は10から15㎝位、若干深くてもいいと思います。
その代り水槽の3分の1程度の陸地を作ってあげましょう。
深さ10㎝位のタッパーに砂利や砂などを入れておき、それを陸地とします。
上がりやすいように煉瓦や流木などで階段(はしご)を作ってやるとよいでしょう。
日光浴はよくする方なので紫外線の出す蛍光灯は必要です。
エサはカメ専用配合でよく、たまにささみなど脂身の少ない肉類をやってもよいでしょう。
ミスジドロガメの繁殖
年中見ていたいならヒーターや保温ランプなどで加温をするのですが、
冬は無加温にして寒さを体験することによって繁殖を促します。
すると翌春にはオスが積極的に交尾をします。
それからしばらく経つと6から7月ごろにタッパーの砂地に産卵をするはずです。
もっともこの方法はカメがある程度水槽の環境に慣れていることが前提ですので、
できれば前年の夏から秋にこのようなセッティングをしてきちんと陸地を覚えさせましょう。
卵は適度に湿らせたミズゴケや腐葉土などに入れ、静かなところ飲置きます。
孵化までの日数は100日くらいなので7月に産めば何とか無加温で孵化すると思います。
生まれた子はめちゃくちゃ小さく、ほんとにおもちゃのようです。
多くのカメ類が入荷しなくなってきた昨今、なんとか本種は国産化してほしいものです。
飼育の機会に恵まれたらペアで飼育し、ぜひ繁殖させてください。
(写真引用元:wikipedia ミスジドロガメ)