「金魚すくいの金魚はすぐ死んでしまう」とよく聞きますが、
そこにはどんな裏事情があるのでしょうか?
金魚すくいで手に入れた金魚を長生きさせるにはどんな手順が必要なのでしょうか?
祭りの翌朝、悲しい思いをしないですむ方法を考えます。
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夏祭り金魚は最初の1週間が勝負!
夜店や金魚釣り堀の金魚たちは、率直に言って劣悪な環境の中で過ごしています。
アクアショップの場合は仕入れた金魚をトリートメントし、
より良い状態で私たち顧客に購入してもらおうと日々頑張ってくれています
(ごく一部にずさんなお店もありますが)。
しかし、夜店の金魚はただ生かして商売に使うことしか考えられていませんから、
水質、給餌、トリートメント、魚病対策といった事柄はまったく考慮されないのです。
次のイベント(祭り)まで日数が空けば、ストックされることなく処分されてしまいます。
当然のことながら金魚たちのコンディションはすこぶる悪い状態にあります。
いつ落ちて(=死んで)しまってもおかしくない状態にあるのです。
「金魚すくいの金魚はすぐ死んでしまう」という常識(?)には、そういった理由があるのです。
幸運にもあなたにすくってもらった金魚は、ビニールの中でどんなに元気そうに泳いでいても、
落ちる一歩手前の危機的状況にあると考えてください。
あなたの水槽の飼育水になじみ、落ち着きを取り戻して体力を回復するまで約1週間。
その間にどれだけケアできるかが、夏祭り金魚を長生きさせる分かれ道です。
ただし、ここに書かれていることをすべて実践してもらっても、
残念ながら確実に長生きさせられるわけではありません。
元々が落ちる寸前の状態で家にやってくるわけですから、
どんなに手厚くケアしても運否天賦があることを、どうぞご了解ください。
1.事前に水槽をセットする
連れて帰る金魚が1~2匹であることを前提に考えると、下のような水槽、器具が必要になってきます。
・45cm水槽または30cm以上のプラケース
・投げ込み式フィルター(SまたはMサイズ)
・エアポンプ
・カルキ抜き
・粘膜保護剤
・スポイト
・冷凍アカムシ
・粗塩
ひとまずこれだけ揃えておけば金魚の飼育は可能です。
よりアクアリウムとしての完成度を求めるなら、さらに…
・ライト
・底砂
・水草
・水槽の蓋
といった要素も大切ですが、最初から揃えなくてもかまいません。
飼育を続けるにつれ必要性を感じたり、つい欲しくなってしまいます。
アクアリウムの世界が「沼」と呼ばれる理由です…。
水槽はお祭りの数日前に水を張って、あらかじめフィルターを回しておきましょう。
遅くとも祭り当日には準備して出かけたいものです。
飼育水にはカルキ抜きと粘膜保護剤を規定量入れておきます。
2.家に連れて帰るまで
ビニール袋に金魚を入れてもらったら、素早く厚めの布でくるんでしまいます。
可能なら水のこぼれない小さな容器におさめて、カバンの中にしまっておきたいところです。
金魚は暗い場所にいると代謝を下げて、眠りに入ったような状態になります。
家に着くまで余計なストレスを与えないためには、暗くするのが一番なのです。
3.水合わせ
金魚をそのまま水槽に移さず、まずビニール袋ごと水槽に浮かべます。
袋の中の水と、飼育水の温度を合わせるためです。
30分はかけたいところです。
次は水合わせ。
「点滴法」という中・上級者向けのテクニックもありますが、
ここではひとまず、ごく少量ずつ水を足していくようにしてください。
スポイトやおちょこのような小さな容器でビニール袋に飼育水を入れていきます。
飼育水を足す→5分程度待つ→ビニール袋の水を少し捨てる→飼育水を足す
このサイクルを繰り返します。
金魚が暴れるようなしぐさを見せたら、飼育水を足すまでさらに時間をおきます。
元々ビニール袋に入っていた水量の2~3倍くらい飼育水を加えたら、
もう水はすっかり飼育水に入れ替わっていると考えてよいでしょう。
ビニール袋を傾けて、金魚が自然に水槽内へ泳ぎだすまで待ちます。
3.布をかけて初日は放置
新天地の水槽内で泳ぎ回る金魚を眺めたいところですが、初日はガマン。
水槽を布で覆って放置します。
餌やりもしません。
金魚へのストレスを最小限にとどめ、ゆっくり休ませるための手段です。
4.初めての餌やり
餌やりのタイミングは意見の分かれるところです。
水槽に移してから2~3日後に与えると書いている本やサイトもあります。
金魚が落ち着くまで時間をかけるという考え方です。
筆者は翌日朝に餌やりするようにしています。
理由は、お祭り金魚の体力は極端に落ちているため、すみやかな栄養補給が必要だと考えるからです。
餌は栄養価、食いつきに優れる冷凍アカムシを選びます。
初日の餌は様子見で少量。
2日目以降は様子を見ながら増やしていきます。
最初の1週間は水質悪化と消化不良を防ぐため、1日1回にとどめます。
5.2日目以降のケア
フンをみつけたらスポイトでこまめに取り除きましょう。
この時期はろ過がまだ上手く機能していないので、フン除去は大切です。
換水はショックの原因になるので控えますが、水が濁っていたら1/4程度は換えてもよいでしょう。
3~4日目になると、これまで隠れていた病原菌たちが動き出し、
水カビ病や白点病の出てくることがあります。
魚病薬は効果の反面、刺激も大きいので、0.5%の荒塩を加え様子を見ます。
病気が発生したら毎日1/4ほど換水しましょう。
加える水には粘膜保護剤とカルキ抜きを忘れずに。
こうして最初の1週間を乗り越えられれば、お祭り金魚はその後も泳ぎ続けてくれるはずです。
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