カミツキガメの外来種問題!無許可飼育すれば懲役と生態性に迫る

2017年4月24日

(写真引用元:カミツキガメ wikipedia)

 

かつて普通に飼育でき、今は飼うことが出来ないカミツキガメChelydra serpentinaについてお話ししたいと思います。本種は2005年より特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律施行令、いわゆる特定外来生物に指定され、飼育が禁止されています。

 

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無許可飼育すれば1年以下の懲役または100万以下の罰金になるカメ

(写真引用元:カミツキガメ wikipedia)

 

特定外来生物に指定されている生物は学術研究や展示、教育など特別な場合を除き、新規で飼育することはできませんので、本種は事実上個人で飼うことが出来ないカメになりました。あるお笑いタレントが2014年に本種を無許可で飼育していて、30万円の罰金が科せられた事件は記憶されている方も多いと思います。
 

でかく、安く、飽きやすいカメ

(写真引用元:カミツキガメ wikipedia)

 

カミツキガメは1960年代から輸入されていましたが、地方在住の私がよく見かけるようになったのは1980年代からでした。当時、価格は3000円から1万円弱くらいだったと思いますが、私はiZOOの前身である伊豆アンディランドで1984年に1500円で購入しました。当時としても格安でしたが、1990年初頭くらいまで流通量が増え、価格が急に下がり始め、田舎のペットショップでも普通に見かける存在になりました。本種の幼体はなかなか餌を食べず、飼いづらかったように記憶しています。そのため初めは真面目に金魚などをやっていたのですが、餌付くようになると経済的な理由からほとんどコイのエサのみで飼育しました。5年くらいで甲長20㎝になり、ほぼ成長は止まり、そのままひと月に数回、餌をやるという具合になっていました。初めはあの風貌と餌に飛び掛かる動作に満足していましたが、普段はほとんど動かないカメですし、成長も止まってしまったため、だんだんと飽きてしまいました。

 

遺棄により野外での定着が明らかに

 

 

甲長20㎝というのは普通のペット向きのカメでも大きい方なのですが、本種は長いクビや尻尾を持つため、それらを含めると一般家庭で飼うには相当に大きく感じられます。また動かないカメでそれなりに危険、さらに安価で大量に売られているため、金銭的価値はほぼありませんでしたので、問題のなかった昔でさえ多くの人がもてあましたと思われます。そんな大量に売られている「凶暴ガメ」は一般の人の注目も集めるようになり、2000年には改正動物愛護管理法に基づき、地方公共団体が条例で定めたいわゆる「特定動物(危険動物)」に指定されました。飼育を続けるには施錠など面倒な飼育環境を構築し、安くはないお金を役所に支払い続ける必要が生じました。1500円で買ったカメにそこまでするつもりもない私は条例施行前に懇意のショップに引き取ってもらうことにしました。でもその頃から知識のない飼育者やモラルのない業者などが野外に遺棄し始めたのではないかと思われます。2000年に千葉県の印旛沼水系で繁殖し、定着していることが明らかになりました。

 

低温に強く雑食で多産

 

 

カミツキガメはその風貌から肉食と思われますが、実は水生植物や陸生植物の果実なども積極的に食べ、完全な雑食性のカメです。また低温でも全く問題なく、日本でも容易に越冬します。さらによくなかったのは多産だったことで、普通の個体で20個から40個、多い場合では100個も産卵することが知られています(イシガメやクサガメでは10個くらい)。大型でこのカメの天敵となる生物も国内には生息しなかったために、雌雄さえいれば自然条件下では相当に個体数を増加させたのだと思われます。このように国内の生態系に壊滅的な打撃を与える可能性が非常に高くなり、すでに危険動物で事実上新たな個体の飼育が規制されていたこともあり、環境省により2005年に特定外来生物に指定されました。

 

野外で定着している外国の生き物は飼わないほうが。

 

 

このようにカミツキガメは安易に販売され、安易に飼育され過ぎた結果、私たち趣味の世界から遠いところに追いやられてしまい、さらに罰金や懲役とか、ニ十年ほど前では考えられなかった事態に発展してしまいました。行くとこまで行ってしまった感があります。昨年度もハナガメが特定外来生物に指定され、今後もどんどんペットショップに並ぶ生き物たちが規制されていくでしょう。ミドリガメやガーなども数年後には特定外来生物の指定を受けるようですし。「我が国の生態系等に被害を及ぼすおそれのある外来種リスト」ではチュウゴクスッポンやタイリクバラタナゴなども生態系被害の大きい種としてあげられています。私たちは生き物を飼った以上、責任を持って飼うということも大事だとは思いますが、一方で、面倒なことに巻き込まれないためにも、野外で見られるようになった外国産生物には手を出さないほうが賢明だと思います。これからこの趣味を楽しく続けるためにも、私たちは飼育の事だけではなく、先述した外来種リストや日本や世界の侵略的外来種ワースト100をよく調べ、外来生物の図鑑を見たり、ニュースなどもチェックしておくことが大事なのではないでしょうか。

 

—はじめてのカメと暮らし方—

亀の飼育

 

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