ビオトープは小さい水槽内で生態系を作り出し、なるべく自然に近い形でメダカを飼育する方法です。
屋外の池や、睡蓮鉢で楽しむのが一般的です。
ビオトープの魅力は自分の手を加えずに、生態系だけでメダカを育てる所でしょう。
ビオトープは屋外に水辺を用意し、バクテリアや虫、鳥、日光、雨水の影響で生態系が完成します。
これを室内で再現するのは、難しいですが不可能ではありません。
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正確には室内の水槽ではビオトープと言えない
ビオトープとは、「生物群集の生息空間を示す言葉」です。
簡単に言うと、自然界の生態系を身近に感じられる空間ですね。
例えば、自宅の庭に池を作ってメダカやコイを放流します。
すると時間がたつにつれて自然とバクテリアが発生し、日光のおかげでコケが生えます。
自然と虫が集まり、やがては小鳥が水浴びするまでになるでしょう。
庭の池ではアクアリウムのようにフィルター濾過や、ライトで光を照らしたりしませんよね。
自然の生き物が排出する糞尿を栄養としてバクテリアが発生し、生態のサイクルで成り立ちます。
これが本来のビオトープです。
最近ではより身近なビオトープとして、睡蓮鉢や発泡スチロールの箱でメダカや金魚を飼育するようになりました。
屋外で自然に近い形で飼育するので、こちらも立派なビオトープと呼べるでしょう。
しかし、外的要因に左右されない室内では、ビオトープのような生態サイクルを作るのは難しいのです。
室内で人の手を加えずに生態系だけでメダカを飼育するのであれば、ビオトープではなくバランスドアクアリウムという考え方になります。
バランスドアクアリウムとは?
バランスドアクアリウムとは濾過フィルターなどの機材を使わずに、水質や生態を安定させるジャンルです。
通常アクアリウムでは、フィルターやライトなどの機材で人工的に飼育環境を作り出します。
定期的な換水とエサやりも欠かせませんよね。
バランスドアクアリウムは、機材を極力使わず、エサの投入も控えます。
どうしても水が蒸発してしまうので、定期的に足さなければいけませんが、それ以外では手を加えません。
水槽の中の生態系だけでメダカを飼育するのです。
人の手を加えず、水槽の中の生態系だけでメダカを飼育するなら、ビオトープに限りなく近い飼育法と言えるでしょう。
しかしバランスドアクアリウムは難易度が高く、アクアリストの経験が無ければ難しいジャンルです。
偶然で成り立つ事は無いので、豊富な知識が必要です。
バランスドアクアリウムのコツ
バランスドアクアリウムでは、小さくて丈夫な魚が望ましいです。
その点メダカは小さくて丈夫なので、バランスドアクアリウムに向いた種類です。
投入する生体の数はなるべく少なくしましょう。
多いと糞尿の排出が多くなり、水草やバクテリアの浄化スピードが間に合いません。
メダカの他には水草ですね。
水草はメダカの排出する糞尿を養分として吸収し、光合成で酸素吐き出します。
マツモのような成長スピードが速い品種よりも、ゆっくりと成長する品種が良いですね。
水槽内の栄養を一気に吸う水草は、一見浄化に役立つように思えますがバランスを崩しやすいのです。
他には底砂に住み着くバクテリアが水質改善に役立ちます。
魚の食べ残しと壁面のコケを処理してくれる淡水の貝も生態サイクルに役立ちます。
メダカのエサは、水中で勝手に増えるミジンコがいれば問題ありません。
ミジンコは意図的に入れなくても、水草や足し水から自然に侵入して増えていきます。
これら全てが絶妙なバランスで成り立つのが、バランスドアクアリウムなのです。
室内でメダカのビオトープを目指すならバランスドアクアリウムは必須
屋外でするビオトープは、外部の要因を受けて自然と生態系が出来上がります。
しかし室内では、私たちが生態系のバランスを見極める必要があります。
バランスドアクアリウムは難易度の高いジャンルですが、1~2匹のメダカの飼育であれば比較的難易度が低いので、そこから始めてみてはいかがでしょうか。
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