水の中に入れるだけで酸素が発生するので、フィルターいらずと評判の「酸素の石」。
メダカ飼育専用の酸素の石も販売されています。
便利なアイテムではありますが、メダカにどんな作用をもたらすのか、
今一度チェックしておきましょう。
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酸素の石とは?
「O2ストーン」「酸素を出す石」といった商品名で、
10年以上前からアクア用品として流通しています。
見た目は灰白色の石ですが、これを水の中に入れると、少しずつ酸素を発生させてくれるのです。
酸素の石は、魚をパック詰めにして運ぶ時、
水槽のリセットでバケツに移した時など、エアポンプが使えない場面で役立ちます。
これまで簡易的に酸素を補給する手段としては、
スポーツ用の酸素ボンベなどを利用する方法がありました。
酸素の石のメリットは、パック詰めの手間が要らないこと、
長期間(商品によっては約1ヵ月)効果が持続することです。
現在は一時的な移動用にとどまらず、長期飼育用に作られた酸素の石も販売されています。
メダカ用、金魚用など魚種別に分かれていたり、
水道水に含まれるカルキを分解する機能のついた酸素の石もあります。
メダカ飼育に酸素の石が求められるワケ
メダカ飼育のスタイルはさまざまですが、今最も人気の高まっているのがビオトープ。
屋外に設置した容器で、水草や水生植物とともにメダカを飼い、
小さな生態系を作り上げていくものです。
屋外飼育なので、基本的にエアレーションやろ過器は設置しません。
サイズが小さく、大がかりな飼育設備を必要としないメダカならではの強みです。
しかし、こうしたスタイルで常に問題となるのが夏場の酸素不足です。
屋外である分、天候の影響を受けやすく、
小さな容器であればあるほど水温の上下動が激しくなります。
高水温になると水中の溶存酸素量が減るため、気がついたらメダカが☆になっていることも。
そこで注目されたのが酸素の石。
電源を必要とせず、飼育容器に入れるだけで酸素を補えるということで、
メダカ愛好家たちに利用されるようになりました。
しかし、一方で酸素の石を使う上でのデメリットも指摘されています。
酸素の石はメダカにとって危険?
ここで、酸素の石が水に入れるとなぜ酸素を発生するのか調べてみましょう。
酸素の石の主成分は「過酸化カルシウム」。
土壌改良や医療用として広く使われている化学物質です。
過酸化カルシウムは水に触れることで、酸素と「水酸化カルシウム」に分解されます。
ただし、過酸化カルシウムは本来水に溶けにくい物質なので、
約1ヵ月間も酸素を出し続けることができるのです。
メダカ飼育で問題となりうるのが、
酸素と一緒に放出される水酸化カルシウムです。
水酸化カルシウムもまたポピュラーな化学物質。
漆喰(しっくい)の原料となる他、コンニャクの添加物、PH調整剤など幅広く用いられています。
ひと昔前まで、校庭に引かれる白いラインも水酸化カルシウムでした。
食用にも使われているので安全と思われがちですが、
水酸化カルシウムは水を強いアルカリ性に傾ける性質があります。
また硬度(GH)も上がります。
これがメダカ飼育においてネックとなる可能性もあるのです。
水質がアルカリ性に傾くデメリット
メダカは本来、中性~弱アルカリ性の水質を好みます。
硬度への適応力も高いので、
酸素の石の作用で水酸化カルシウムが発生しても大丈夫なように思えますが、何事も程度問題。
ひとくちに弱アルカリ性といっても、
アフリカンシクリッドなど一部の熱帯魚が好むようなPH8.0を超えるような水では、
メダカが調子を落としてしまいます。
フンなどから排出される有害なアンモニアにも要注意。
PH7.0以下では、アンモニアは魚の皮膚を通過しにくいアンモニウムイオンの形をとります。
しかし、PH7.0を超えて弱アルカリ性に傾くほどアンモニウムイオンにならず、
毒性の強いアンモニアガスとなってメダカにダメージを与えるのです。
日本の井戸水や水道水は軟水がほとんどなので、硬度が高すぎるのも問題ですね。
酸素の石がPHやGHの上昇をもたらすといっても、
少量を大容量の飼育容器で使うならさほど心配はいらないでしょう。
しかし、ペットボトルなど水量の少ない容器で使用する場合には注意が必要です。
メダカをはじめエビ、カニなど水質変化に敏感な甲殻類に用いるには気をつけたいところです。
水質変化の作用は、商品にも注意点として明記されています。
使用の前に、酸素不足への対策を今一度考えてみましょう。
日除けを置いて水温上昇を防ぐ、定期的に換水するといった方法もあるのです。
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