「キス」をしているような口が特徴の「キッシンググラミー」。その名前も姿も可愛らしい感じですが、オス同士が出会うと、意外な方法で喧嘩を始めてしまうのです。
今回の記事ではそんな「キッシンググラミー」の生態と、喧嘩方法について探ってみましょう。
この記事の目次
東南アジアからやってきたキッシンググラミー
キッシンググラミーは東南アジアのインドネシア、マレー半島が原産です。低地の沼や河川など、流れの穏やかな水域に生息している淡水魚で、「スズキ目ヘロストマ科」に属しています。
実は「ヘロストマ科」はキッシンググラミーのみが属しているという珍しい魚です。観賞用としても人気ですが、わりと大きくなるため、食用としても利用されています。
キッシンググラミーの体は大きめ
体の特徴としては大きな体が上げられます。熱帯魚の多くが大きくても8センチ程度のものが多いのに対し、キッシンググラミーは20センチ程度が主流で、大きな個体となると30センチを超えるものもあります。
体の色は薄い銀色のような感じで、遠目に見ると肌色に近く見えます。そして一番目に付くのはその「口」で、突き出ているような形をしています。
キッシンググラミーの名前の由来はキスではない?
「キッシンググラミー」の名前の由来は、2匹の魚が口を近づけ、キスをしているように見えることから付けられました。しかし、実はこの行動、愛情表現ではなく、「喧嘩」なのです。
このキスのような動きはオス同士のみで発生し、オスが出会うとこの特徴的な口で「押し合い」の喧嘩をしているのです。口をつけ合っているのは微笑ましくも見えますが、魚同士にとっては真剣な喧嘩なのですね。
キッシンググラミーの気性は荒い?
オス同士が出会っただけでキッシンググラミーは高確率で喧嘩になってしまいます。そのため、気性はやや荒めで、他の魚を攻撃したりすることもあります。
特に「エンゼルフィッシュ」などの平たい魚は小突かれやすい傾向があります。他の魚との混泳はできるだけ避けた方が良いでしょう。
キッシンググラミー飼育する上での水質は?
水質にはあまりこだわらない魚ですが、中性から弱酸性の水質を保つことが重要です。野生のキッシンググラミーは流れの緩やかな水域に生息しているので、水槽で飼育する場合も水流が激しくならないように気を付けましょう。
水温は25度から28度が最適で、ある程度の暑さには耐えることができますが、寒さには弱いので冬季は水槽用ヒーターなどを用意すると良いでしょう。
キッシンググラミーは比較的なんでも食べる
キッシンググラミーは雑食性で比較的なんでも食べてくれます。ただ、口は大きく開かないので人工餌でしたらフレークタイプ、冷凍ミジンコなどは食べやすいようで、食いつきが良いです。
大きめの餌でも食べないわけではなく、小さな口で突いて削り取りながらゆっくり食べることもあり、口は小さいが噛む力が強いことがうかがえますね。
「掃除屋」的な役割もあり、水槽に付いた藻やコケ、残飯なども食べてくれます。
キッシンググラミーの繁殖は難しい?
キッシンググラミーの繁殖は難しい、と言われています。もし運よく卵が産まれれば2~3日で孵化します。卵は「浮性卵」と呼ばれ、水槽内を漂うタイプなので、卵が産まれたら他の魚は別の水槽に移すことをお勧めします。
繁殖は難しいので増やすためには購入するのが無難でしょう。一時期は大人気の熱帯魚でしたが、他の魚を攻撃する性質があるので最近は手に入りやすくなりました。実店舗以外でも通販で購入できます。
相場は1匹900円程度が多いようです。
キッシンググラミーを見たいときは?
「直接キッシンググラミーを見てみたい!」という方はいくつかの水族館でも見ることができます。札幌の都心にある「サンピアザ水族館」にはキッシンググラミーが群れで展示されており、結構な確率でキスをする姿を見ることができますよ。
東京都豊島区の「サンシャイン水族館」でも飼育されており、キスをする姿からか、カップルに人気があるようです。ただ、キスはオス同士で喧嘩なのですが。
キッシンググラミー飼育と喧嘩のまとめ
ほほえましいキッシンググラミーのキスは口で押し合うオス同士の喧嘩でした。優しそうに見えて気性が荒いのは意外でしたね。飼育するときは他の魚との喧嘩に十分に気を付けましょう。
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