シクリッド

昭和を代表する暴れ者ジャックデンプシーを飼育しよう

2016年8月22日

フラワーホーン ラピスラズリ

 

昭和を代表する魚の一つだと思っています。

オスカーやエンゼルフィッシュと同じシクリッドの仲間で、

メキシコからホンジュラスが分布域で、大きさは20cmくらいと手ごろなサイズです。

この名のもとになったジャックデンプシーという100年前に活躍した

プロボクサーのことを知っている人はまずいないのではないでしょうか?

私も知りません。

ボクサーの名前を冠する魚ですから、

当時からジャックデンプシーは気の荒い魚として有名だったように思います。

 

 

関心が低いために情報が錯綜?

フラワーホーン ラピスラズリ

 

1985年にだされた桜井ら著「世界の熱帯魚(山と渓谷社)」には、

「♂の成魚は同種や他種に対して攻撃的になるので注意が必要である」と書いてあります。

私のところでは幼魚から育て、8年生きていましたが、確かに同種他個体には不寛容なものの、

テキサスシクリッドなどと比べればその攻撃性はあまりしつこくなく比較的おとなしいシクリッドだと思いました。

ちなみにこの本には生息地がアマゾン川流域に分布とあり、

フィッシュマガジン2002年8月号には自然下で50㎝になるとされていますが、間違いです。

名前が有名な割に皆の関心が低い魚なのかもしれません。

きれいでそれほど大きくなく、よく馴れ、水質もうるさくなく、

餌も配合飼料を中心になんでも食べるいい魚だと思うのですが。

 

 

シクラソマという属

フラワーホーン ラピスラズリ

 

本種はその昔Chichlasoma octofasciatumという学名が与えられていましたが、

近年研究が進み学名の変更がありました。

この“シクラソマ”、かつては気の荒いテキサスシクリッド、マナグエンセ、レッドシクリッド、

比較的おとなしいファイヤーマウス、フェスティバムなどもすべて同属になっていました。

要するに十分な検討がなされず、未整理の状態がしばらく続きました。

その後1990年代後半に今のような細分化がされたようです。

 

学名は仮説

 

 

熱帯魚は本種のネオンテトラ、レッドテールキャットフィッシュなどのように通称で呼ばれるものもありますが、

ほとんどは学名で呼ばれています。

学名は、詳細に論じれば一冊の本ができるほどですが、簡単に言えば、

生物の名前を共通させるために属名と種名という2名法を用いたものです。

たとえば、コイは現在、日本をはじめ、世界中に広く分布しており、

日本ではコイ、中国ではリーユイ(鲤鱼)、英語ではカープ(carp)、

ドイツ語ではカルプェン(Karpfen)と言い、それだけ聞いてもおなじ魚をイメージすることはできません。

そこでコイの学名Cyprinus carpioという共通語を用いることにより、

異国間で学問の成果が共有でき、科学の世界では重要な研究の再現、検証、蓄積ができることになります。

この学名を決めるには基準となる個体を標本化し、博物館や大学などの公共の施設に納め、

近似種と比較し、以前に発表された可能性のある過去の論文を調べて、論文を投稿して、妥当性などを審査され、

やっと新種として認められることになります。

その際にかつては知られなかった新しい形質が発見されることがあります。

そのため、「分類(東京大学出版会1998)」によれば、

“分類学者がつくる学名は与えられた時点で終わってしまうものではなく、

私たちの認識の変化や深化に伴って歴史とともに変化していく”と述べられています。

詳細はわかりませんが、かつてシクラソマにまとめられていた魚をよく調べるとある形質でいくつかの違いが見いだされ、

いくつかの属に分けられることが分かったのでしょう。

この学名の変更は私たち趣味の世界の者にとって混乱のもとになりますが、

ネットの発達した時代、その種が原産地をはじめとした他国でどのような生息地に住み、

あるいはどのように飼育されているか検索できるというメリットがあります。

覚えていけば学問の世界を除くことが少し出来、結構面白いものです。

 

養殖ものはラメの発達した個体がねらい目

 

 

ジャックデンプシーは先述のように昭和時代には比較的よくみられましたが、

最近は改良品種のコバルトブルーデンプシーに変わってしまい、ノーマルの本種は見かけなくなりました。

たまにワイルド物が入荷するときがありますし、養殖物もまだ見られます。

形質が安定しているワイルド物はいいのですが、

養殖物は幼魚の時から鱗のラメがよく発達したものとそうでないものがあります。

これは大人になっても同じような感じになり、

そのため、ラメの発達した前者を選ぶことをお勧めします。

 

 

 

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この記事を書いた人:ごむくろ

アロワナ f

 

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自己紹介:

マイナー種嗜好の貧乏アクアリストです
好きな熱帯魚:

古代魚、真胎生メダカ、アジア産魚類(コイ科、ナマズ科、アナバス科)

 

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