海水魚

ロブスターには寿命がない?ロブスターが内臓まで脱皮するのは本当?

この記事の所要時間: 238

 

2015年から2016年にかけて、ツイッターを中心に、ネットである豆知識が話題となりました。

それは、「ロブスターには寿命がない」という説。

 

はじめての深海:全記事一覧はこちら

ネットで拡散されたロブスター不老不死説

 

高級食材としても知られるロブスターは、脱皮のたびに内臓ごと脱ぎ捨てているので、

人間のように臓器が老化することなく、理論上は永遠に生き続けられるというものです。

カメのように寿命の長い生き物はたくさんいますが、

「内臓ごと脱ぎ捨てる」というインパクトから、ロブスターは大きな話題となったのです。

もし私たちがロブスターを食べなかったら、

世界はやがて不老不死のロブスターたちであふれかえってしまうのでしょうか?

ロブスターと同じエビの仲間である、ザリガニやビーシュリンプたちにはなぜ寿命があるのでしょうか?

ロブスター不老不死説を中心に、エビの仲間たちの生態について調べていきましょう。

 

ロブスターが内臓まで脱皮するのは本当!

 

ウィキペディアにも推定年齢140歳のロブスターが紹介されていますから

 

ロブスターが長命であることは間違いないようですね。

ロブスター不老不死説における最大のポイントは「内臓も脱皮している」という点でしょう。

エビやカニ、昆虫など節足動物の仲間が「脱皮」を

繰り返すことによって成長することはよく知られています。

「皮を脱ぐ」という字義通り、表皮(殻)だけを脱ぎ捨てているようなイメージがありますが、

実は脱皮の際、内臓も入れ替わっているというのは本当です。

ロブスターに限らず、ザリガニやミナミヌマエビなどの抜け殻をよく観察してみると、

殻の内側に確かに臓器の抜け殻とおぼしきものが付着しています。

また、消化途中の食べ物が抜け殻の中に残されていることもあります

(ほとんどのエビは脱皮直前になる餌を摂らなくなりますが)。

身体の内側も脱皮するので、消化中の餌がそっくり取り残されるわけですね。

 

 

心臓や脳は脱皮を繰り返すのか?

 

ここで、エビの仲間の内臓についてチェックしてみましょう。

私たち哺乳類と同じようにエビたちも眼、脳、心臓といった臓器を備えています。

節足動物なので触覚を持っていますし、子孫を作るため精巣や卵巣もあります。

そして胃や腸といった消化器。

当然の話ですが、口から胃、腸、そして肛門までつながっています。

この口から消化器、肛門がつながっている当たり前の事実こそ大切なのです。

例えば一本のパイプを想像してください(ホースでも土管でも何でもかまいません)。

パイプの外側はエビの殻だとしましょう。

ハサミや脚、触覚、尻尾といった外殻すべてがパイプの外側だと簡略化して考えてください。

パイプの内側は胃や腸といった消化器の内壁にあたります。

片方の端が口、もう片方が肛門だと考えれば、

エビの身体が一本のパイプ状になっていることが分かるでしょう。

もし、このパイプがそっくり脱皮したとしたらどうでしょう?

パイプの外側、内側、どちらの面も抜け殻として残りますね。

つまり、ロブスターやザリガニの抜け殻に残されていた内臓の跡とは、消化器の内壁だったのです。

ロブスターが内蔵も脱皮しているという話は本当でしたが、あくまで消化器に限った話。

脳や心臓までは脱皮していないのです。

 

エビたちが長生きする方法はあるの?

 

「内臓まで脱皮」というパワーワードが先行してしまい、

ロブスターにはまるですべての臓器を更新しながら生き続ける

モンスターのようなイメージがついてしまいました。

実際に脱皮するのは消化器の内壁。

脳や心臓といった重要な臓器はそのままですから、いつしか老化によって機能不全を起こす日が来ます。

それよりさらに大きな問題は、

エビの仲間にとって脱皮とは命がけの作業であること。

脱皮したての状態は殻が柔らかく、他の生き物にとって格好の餌となってしまいます。

また脱皮には大きなエネルギーを使うので、

脱皮途中のまま力尽きて死んでしまうことも珍しくありません。

稚エビの頃は1~2日に一度のハイペースで脱皮を繰り返しますが、

種を問わず個体が大きく老齢化するほど脱皮は難しくなっていくのです。

イエローヘッド病などエビ類特有の病気もありますから、

ロブスターをはじめエビの仲間は決して不老不死ではありません。

脱皮不全による死亡や、エビ特有の感染症は、

どちらも過密飼育で水質が悪化した時に起こりやすくなります。

もし、皆さんが買っているザリガニやビーシュリンプを永遠とは言わず少しでも長生きさせたいのなら、

フィルターを中心にしっかりした飼育環境を整えることが重要なのです。

 

 

 

よく読まれている記事

深海ヘルメット

 

よく読まれている記事:まだ見ぬ怪魚を求めて、人類が深海探検に初めて行った日

 

アクアリスト 感性を磨く

 

よく読まれている記事:フウセンウナギは深海のアナコンダ、まるでエイリアンのような形をしている。フウセンウナギの生態について調べてみた

 

梅雨

 

よく読まれている記事:神秘的な怪魚、頭が透明な深海魚デメニギスの生態と近年の研究報告を紹介(動画あり)

 

ひよこ亭

ひよこ亭

投稿者の記事一覧

熱帯魚歴20年。最近は日淡やらんちゅうにも凝り始めました。
プレコ、サカサナマズなどを中心に飼育しています。

関連記事

  1. 【これは必見!】ファインディング・ニモでお馴染みのカクレクマノミ…
  2. ヒトデの飼育方法をご紹介!海水水槽のアクセントに!
  3. 【初心者でも大丈夫】ソフトコーラルとイソギンチャクを飼育してみよ…
  4. 海水魚の飼育なら知っておくべき!天然海水と人工海水のどちらを使う…
  5. 初めての海水魚ならこれだ!ヤエヤマギンポ、ハタタテハゼ、ヤドカリ…
  6. 海水魚初心者ならこの生体から飼育すべし!デバスズメダイ・シリキル…
  7. 海水魚が「ここは楽園ですか?」と尋ねたくなるほど!快適環境オーバ…
  8. 何でイソギンチャクの飼育は難しいの?失敗例と共に徹底解説!

ピックアップ記事

おすすめ記事

  1. 陽火石は水のpHに影響を与える?最適なレイアウトや導入時の注意点
  2. メダカの縄張り争い(いじめ)の解消方法 
  3. 熱帯魚飼育に使うフィルターとヒーターはどれくらい電気代がかかるの?
  4. 冬場にショップから熱帯魚を購入し移動する際の注意点
  5. 水槽用ヒーターの使用事故を起こさないポイント
  6. 水槽用ヒーターの寿命はどれくらい?寿命を伸ばすコツも伝授!

ピックアップ記事

おすすめ記事

ベタの飼育に最適なフィルター(ろ過器)その2

さて、前回はベタの飼育に最適なフィルターということで、外部フィルター、上…

ミナミヌマエビ 飼育編-混泳できない相性の悪い生体 

さて、今回は、ミナミヌマエビとの混泳をお薦めしない魚について書いていこう…

え!錦鯉が水槽で飼育できるの!?水槽で飼える錦鯉の世界!

(錦鯉)錦鯉ミックス Sサイズ(10匹)一般的に大型になる魚には、サイズに…

メダカ飼育でホテイアオイを使うべき3つの理由

(ビオトープ/浮草)ホテイ草 国産(ホテイアオイ)(3株) 金魚 メダカ庭…

幻の深海生物ユウレイイカの生態に迫る!全身イルミネーションの深海魚

夏真っ盛り。夏まつりでは屋台の食べ物も楽しみですよね。焼きトウモ…

自分の手で命をつなぐよろこび!卵生メダカの美しい世界

(熱帯魚)ノソブランキウス・ラコビー(1ペア) 北海道航空便要保温アクアリ…

おすすめ記事

  1. ネオンテトラに合う水草って何? アマゾンソードプラント、ヘアーグラス
  2. グッピーのための照明器具
  3. 赤・黄色・オレンジ・青・白・黒など様々なミナミヌマエビの亜種紹介
  4. 熱帯魚ヒーターの電気代はどれくらい?水槽の電気代が高い理由と節電
  5. 水槽の掃除・水換えなどのメンテナンス頻度はどれくらい?アクアリストの素朴な疑問解消
  6. 熱帯魚 オスカー水槽のお引っ越し編
PAGE TOP