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ロブスターには寿命がない?ロブスターが内臓まで脱皮するのは本当?

2017年3月27日

 

2015年から2016年にかけて、ツイッターを中心に、ネットである豆知識が話題となりました。

それは、「ロブスターには寿命がない」という説。

 

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ネットで拡散されたロブスター不老不死説

 

高級食材としても知られるロブスターは、脱皮のたびに内臓ごと脱ぎ捨てているので、

人間のように臓器が老化することなく、理論上は永遠に生き続けられるというものです。

カメのように寿命の長い生き物はたくさんいますが、

「内臓ごと脱ぎ捨てる」というインパクトから、ロブスターは大きな話題となったのです。

もし私たちがロブスターを食べなかったら、

世界はやがて不老不死のロブスターたちであふれかえってしまうのでしょうか?

ロブスターと同じエビの仲間である、ザリガニやビーシュリンプたちにはなぜ寿命があるのでしょうか?

ロブスター不老不死説を中心に、エビの仲間たちの生態について調べていきましょう。

 

 

ロブスターが内臓まで脱皮するのは本当!

 

ウィキペディアにも推定年齢140歳のロブスターが紹介されていますから

 

ロブスターが長命であることは間違いないようですね。

ロブスター不老不死説における最大のポイントは「内臓も脱皮している」という点でしょう。

エビやカニ、昆虫など節足動物の仲間が「脱皮」を

繰り返すことによって成長することはよく知られています。

「皮を脱ぐ」という字義通り、表皮(殻)だけを脱ぎ捨てているようなイメージがありますが、

実は脱皮の際、内臓も入れ替わっているというのは本当です。

ロブスターに限らず、ザリガニやミナミヌマエビなどの抜け殻をよく観察してみると、

殻の内側に確かに臓器の抜け殻とおぼしきものが付着しています。

また、消化途中の食べ物が抜け殻の中に残されていることもあります

(ほとんどのエビは脱皮直前になる餌を摂らなくなりますが)。

身体の内側も脱皮するので、消化中の餌がそっくり取り残されるわけですね。

 

 

心臓や脳は脱皮を繰り返すのか?

 

 

ここで、エビの仲間の内臓についてチェックしてみましょう。

私たち哺乳類と同じようにエビたちも眼、脳、心臓といった臓器を備えています。

節足動物なので触覚を持っていますし、子孫を作るため精巣や卵巣もあります。

そして胃や腸といった消化器。

当然の話ですが、口から胃、腸、そして肛門までつながっています。

この口から消化器、肛門がつながっている当たり前の事実こそ大切なのです。

例えば一本のパイプを想像してください(ホースでも土管でも何でもかまいません)。

パイプの外側はエビの殻だとしましょう。

ハサミや脚、触覚、尻尾といった外殻すべてがパイプの外側だと簡略化して考えてください。

パイプの内側は胃や腸といった消化器の内壁にあたります。

片方の端が口、もう片方が肛門だと考えれば、

エビの身体が一本のパイプ状になっていることが分かるでしょう。

もし、このパイプがそっくり脱皮したとしたらどうでしょう?

パイプの外側、内側、どちらの面も抜け殻として残りますね。

つまり、ロブスターやザリガニの抜け殻に残されていた内臓の跡とは、消化器の内壁だったのです。

ロブスターが内蔵も脱皮しているという話は本当でしたが、あくまで消化器に限った話。

脳や心臓までは脱皮していないのです。

 

エビたちが長生きする方法はあるの?

 

 

「内臓まで脱皮」というパワーワードが先行してしまい、

ロブスターにはまるですべての臓器を更新しながら生き続ける

モンスターのようなイメージがついてしまいました。

実際に脱皮するのは消化器の内壁。

脳や心臓といった重要な臓器はそのままですから、いつしか老化によって機能不全を起こす日が来ます。

それよりさらに大きな問題は、

エビの仲間にとって脱皮とは命がけの作業であること。

脱皮したての状態は殻が柔らかく、他の生き物にとって格好の餌となってしまいます。

また脱皮には大きなエネルギーを使うので、

脱皮途中のまま力尽きて死んでしまうことも珍しくありません。

稚エビの頃は1~2日に一度のハイペースで脱皮を繰り返しますが、

種を問わず個体が大きく老齢化するほど脱皮は難しくなっていくのです。

イエローヘッド病などエビ類特有の病気もありますから、

ロブスターをはじめエビの仲間は決して不老不死ではありません。

脱皮不全による死亡や、エビ特有の感染症は、

どちらも過密飼育で水質が悪化した時に起こりやすくなります。

もし、皆さんが買っているザリガニやビーシュリンプを永遠とは言わず少しでも長生きさせたいのなら、

フィルターを中心にしっかりした飼育環境を整えることが重要なのです。

 

 

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