メダカが卵を産んでくれたけれど、稚魚用水槽に入れても、
すぐカビに冒されてしまいなかなか増えない…。
そんな時は、卵をひと粒ずつ分ける丁寧な採卵方法が大切になってきます。
メダカの採卵と、その後の処理方法をまとめてみました。
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メダカの産卵方法
メダカの産卵は二段階に分けてとらえることができます。
まず、産卵直後の塊になった状態。
産まれたての卵は、
メスの総排泄腔(肛門と産道を兼ねた穴)の付近に塊となってくっついています。
メスはこの状態でオスの放精を待ち、
数時間、時に10時間も泳ぎ続けます。
受精が終わると次の段階へ。
メスは身体を揺するようにして、水草の葉や根、
シュロ皮といった産卵床となるものに卵をすりつけます。
卵をすべて移動できたら産卵行動は終了。
産卵床を親魚の飼育容器から取り出して、採卵を始めましょう。
1.付着糸を取り除く
取り出した産卵床を稚魚用水槽に入れて、
そのまま孵化を待つのが最も手っ取り早い方法です。
しかし、卵は2~3個ずつくっついた状態で産みつけられているので、
死卵からカビが発生すると隣り合った健康な卵にも伝染してしまい、孵化率が落ちてしまうのです。
そこで卵を産卵床から離し、
ひと粒ずつほぐしてやる作業が必要になってきます。
透明な膜に包まれたメダカの卵はいかにも柔らかく、
もろく見えますが、産卵されたその日のものは意外としっかりしているので大丈夫。
ただし、産卵翌日以降は卵膜が柔らかくなり、
とたんにつぶれやすくなるので、産んだその日に採卵を心がけましょう。
まずは卵の表面についた付着糸を取り除きます。
付着糸は水草の根などに卵をからみつける役割を果たしますが、
同時にカビの発生源にもなりますので、取り除いた方が好都合なのです。
産卵床からそっと卵を指ではがし、厚紙の上に置いていきます。
ピンセットを使うと余計つぶれやすくなるので、指を使うのがベストです。
指の腹で卵を転がすと、付着糸がはがれてきます。
あわせて、2~3個ずつまとまっている卵をひと粒ずつほぐしていきましょう。
人間の指は意外と細菌がついているもの。
卵に触れる前には、流水でよく洗っておきます。
2.卵はシャーレと水道水で管理する
卵の塊をほぐすため指で転がしていると、つぶれてしまう卵も出てきます。
そのほとんどは、もろい無精卵や死卵。
卵をほぐす工程で既に選別もできてしまうのです。
せっかくひと粒ずつ分けても、
飼育容器に戻した時に重なってしまっては意味がありません。
理科の実験などで用いる、底の浅いシャーレが便利です。
10枚セットで700~1000円程度で販売されている、
軽くて安価なプラスティックやスチロール製のシャーレをおすすめします。
シャーレには水道水を入れましょう。
浄水器を通さず、蛇口から出たそのままの水道水を用います。
稚魚のために餌となるバクテリアの豊富な緑水
(青水、グリーンウォーター)を用意した方もいるかもしれません。
しかし、この時期の卵は水カビや細菌に対してとても弱いのです。
まずは殺菌用の塩素(カルキ)が入った水道水で管理した方が、
卵の死滅を防ぎやすくなります。
シャーレは水量が少ないので、毎日換水が必須。
順調なら10日~2週間ほどで孵化するので、1週間目以降は飼育水を入れてもかまいません。
この間、死卵やカビのついた卵を見つけたら、すみやかに取り除きます。
採卵率を上げる隠れたポイント
慣れが必要となりますが、より多く採卵したい場合は産卵中を狙って、
メスの腹から直接卵を採りましょう。
産卵床に身体をすりつけているメスを見つけたらネットですくい、
指ではさんでからぬぐうように卵を採ります。
この時、魚体を傷つけないように細心の注意が必要です。
また、メスに卵をたくさん産ませる飼育法も大切。
水質悪化に注意しながら、メスが満腹になるまで餌を与えます。
メダカに限らず鑑賞魚のセオリーは腹七~八分目に抑えた給餌。
しかし、産卵数を増やすには魚体が丸太のようにパンパンになるまで、
よく肥やすことが重要になってくるのです。
給餌量が増えれば残餌やフンも増え、水質悪化も早まるので適宜換水を行いましょう。
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