シクリッドの種類は非常に多彩で、最もポピュラーな観賞魚のひとつであるエンゼルフィッシュや、
熱帯魚の王様・ディスカスも仲間のひとつです。
その中でアフリカのマラウィ湖、タンガニーカ湖などを原産とする魚たちは、
アクアリウムの世界で独特の地位を獲得しており、
アフリカンシクリッドと呼ばれ親しまれています。
ここではメタリックな体色が特徴的な、マラウィ湖原産のシクリッドについて紹介していきます。
この記事の目次
アフリカンシクリッド飼育の注意点
最大のポイントは弱アルカリ性の硬水を使用すること。
日本の水道水のほとんどはPH7.0前後の軟水であるため、
PH7.5~8.0程度の硬水を用意する必要があります。
硬水はろ過材と底床にサンゴ砂を用いることで作ります。
いきなり魚を投入せず、まず水だけを循環させておくとサンゴ砂から
カルシウムなどの成分が溶け出し、徐々に弱アルカリ性へ水質が傾いていきます。
熱帯魚ショップで流通しているアフリカンシクリッドの多くは中性寄りの水質で繁殖した養殖個体であるため、
さほど高いPH値を必要としません。サンゴ砂を使うだけで飼育に必要な水質を作れます。
ワイルド個体を飼う時や、居住地域の水質の問題でPH値がなかなか上がらない時は、
PH調整剤を使用するとよいでしょう。
アフリカンシクリッドの飼育設備
アーリーやピーコックなど全長15cm程度の品種をペア飼いするなら
60cm水槽と上部ろ過器の組み合わせで充分です。
多くの種類を混泳させたり、水替えの頻度を減らしたいなら
やはり90cm以上の水槽と外部ろ過器が必要となってきます。
水替え時は急にPHが下がりショックを起こす可能性があります。
小型水槽やバケツにサンゴ砂を敷き、エアレーションして換水用の飼育水を準備しておくと便利です。
ろ過材や底床に用いるサンゴ砂は、徐々にカルシウムが
抜け細かく崩れてしまうので1~2年をめどに交換します。
アフリカンシクリッドの餌
旺盛な食欲を見せ、一般的な人工飼料にもよくなじんでくれます。
生餌は必要としません。
シャープな体型が魅力の魚種であり、消化不良による腹水病を起こしやすい傾向もあるので与えすぎには気をつけましょう。
水槽の中で最も強いオスがエサを独占してしまうので、弱い立場の個体やメスにも行き渡るようにしてください。
アフリカンシクリッドの性質
飼育水と並ぶ悩みとなるのが気性の荒さです。
美しい体色を見せてくれるのはボス的な立場にあるオスのみ。
そのためにオス同士、常に激しい縄張り争いを繰り広げています。
弱いオスはややくすんだ体色になってしまうので、本来の魅力を発揮できません。
ペア飼いが無難ですが、メスでも未熟だったり相性が合わないと追い回されてしまいます。
大きめのサンゴ岩を組み合わせ、隠れ場所を用意したり、フェンスで隔離するとよいでしょう。
ろ過設備を充実させ、縄張り争いが起きないほど過密状態にしてしまうのも一策です。
アフリカンシクリッドの繁殖
多くのアフリカンシクリッドが、メスの口の中で卵を孵化させ一定時期まで育てるマウスブルーディングを行います。
メスが成熟すると腹部が膨らんできます。ペアが水槽の底で円を描くように動き始めたら交尾のサインです。
メスが物陰であまり動かなくなったら産卵に入った証拠でしょう。
注意深く観察すると、口の中に卵や稚魚を確認できます。
稚魚たちが親から完全に離れるまで、メスは餌を一切口にしません。
稚魚が育っていく一方、どんどん痩せていくメスの姿は少し痛々しいですが、
強い母性を感じさせてくれます。
オスは自分の子どもでも遠慮なく食べてしまうので、
独立して泳ぐようになったらすぐに隔離してください。
混泳について
弱アルカリ性の硬水を必要とし、
気性も荒いのでアフリカンシクリッド以外の魚種との混泳は不向きです。
同じアフリカンに分類されていますが、
ペルヴィカクロミス・プルケールなど河川産シクリッドもやはり必要な水質が異なるので難しいです。
硬水では水草も育ちにくいので、アヌビアスナナなどごく一部の品種しか入れられません。
アフリカンシクリッドの飼育から繁殖のまとめ
こうした様々な制約はありますが、やはりアフリカンシクリッドだけが持つ鮮やか体色は魅力的です。
アクアリウム初心者にもぜひ挑戦してほしい魚たちです。
(写真引用元:charm)
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この記事を書いた人:ひよこ亭
HN:ひよこ亭
自己紹介:熱帯魚歴20年。最近は日淡やらんちゅうにも凝り始めました。
好きな熱帯魚:プレコ、サカサナマズ