はじめての深海

素手で触ると溶けてしまうサケビクニンの生態に迫る【動画アリ】

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サケビクニン wiki

(写真引用元:クサウオ科 wikipedia

 

サケビクニンは、カサゴ目コンニャクウオ属クサウオ科の魚です。

学名は Careproctus rastrinusといいます。

わが国ではオホーツク海に分布しており、

体はちょうど卵を長くひきのばしたような形をしており、体色は濃いピンク色です。

ビクニンの仲間は特徴的な愛らしい顔をしています。

上あごが下あごよりやや長くできており、口をあけると、

漫画で驚いた人がえがかれたかのように、ぽかんと丸い口になります。

これは主に、ビクニンが海底や岩などに張り付いて、

小さなエビなどをシュポン!と吸い込んで食べるため、

このような特徴的な口をしているのだと考えられます。

体長約40センチで、水深約130mから220mの領域に住んでいるとみられます。

 

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うろこがなくても平気なの?

女性 f

 

サケビクニンにはうろこがありません。

一般的な魚のうろこの成分を調べてみると、

うろこには単に寄生虫や病原体の侵入を防ぐ鎧としての役割だけではなく、

生化学の観点からも重要な役割があることがわかります。

生物にとって、微量元素は神経細胞などに代表される各細胞の活動に欠かせないものであるため、

脂質、炭水化物、たんぱく質と同様に、生命活動に欠かせないものであります。

中でもカルシウムはいろいろな生理機能に用いられていて、

我々人類は動植物由来の食物としてカルシウムを補給する一方、

そのカルシウムはどこから来たのかという点を辿って行くと、やはりそのルーツは海水にあります。

うろこをもつ魚は、自分の周りにある海水のカルシウムをいったん体内に取り込み、

血液を介してうろこに供給しています。このような魚類では、体内のカルシウムの約80パーセントが骨に、

そして約10パーセントがうろこに存在していて、うろこも骨もリン酸カルシウムを主成分としています。

リン酸カルシウムは、硬い組織となった後にも、再び血液中に溶かすことができますので、

生体活動におけるカルシウムが不足した場合は、

骨やうろこのリン酸カルシウムから供給していることになるのです。

 

筋肉の運動をはじめとする生理現象は、カルシウムをはじめとするミネラルを用いるため、

貯蔵庫であるうろこを持っていた方が、生き残りには有利なように思えます。

しかし、鳥が先か卵が先かではないですが、

サケビクニンは腹の吸盤を用いての姿勢の保持や、

水分と脂質が極端に多いブヨブヨの体によっての浮力の保持などの省エネ技術を発達させているため、

活発な運動を日常とする魚に比べて、カルシウムやリンの貯蔵も少なくて済むのではないだろうかと思います。

 

ブヨブヨの体は応力集中を避けて、組織の損傷を最小限にするため?

 

サケビクニンのうろこを持たないブヨブヨの体が、

深海の圧力に耐える上でどのように有利にはたらいているのか、

少し考えてみました。まず、材料工学では、圧力と応力の考え方があります。

 

応力σ=P/A[N・mマイナス二乗]=[パスカル]

つまり、断面積が小さいほどに、材料にかかる応力シグマは増えていきます。ブヨブヨの体であれば、

細い断面積で単独となる個所が少ないために、応力は少なくできるのがまず一点です。

 

そして次に、せん断応力というものを考えてみましょう。

これは、圧縮応力と同じように力は縦方向にかかるが、

作用線が一致しない場合に、ハサミで切るような力が材料にかかることをいいます。

せん断応力は、材料の水平度と、かかる力の垂直度の関係を角度としてあらわすと、

cos90°=1で最大となり、cos0°=0で最少となります。

ですから、少しでも90°からずれていれば、ブヨブヨの体なら流動的に角度をゼロに近付け、

せん断応力を受け流している可能性があります。

 

サケビクニン

 

ブヨブヨの体のほかにも、体内に気体をなるべく持たないことによって、圧力による体積変化で組織が傷つけられるのを防いだり、

高圧による組織の損傷の修復に使われるたんぱく質を多く合成しているともいわれています。

いずれにしろ、一般的に栄養、すなわち投入できる費用は少なくとも、

苛烈な環境を受け流し、生き残るというミッションに成功しているという点では、我々人類も非常に見習うところがあると思います。

 

工業製品もサケビクニン型のデザインになっていく?

 

背びれと臀ひれの前部鰭条(ワイヤー状の骨組み)は、ゼラチン状の組織の中に埋まっています。

そのため、ひれと体との境界線があいまいなのも、

サケビクニンの見た目で特徴的な点の一つです。ちょっと近未来的なデザインでもあります。

このような体の突起を極力減らすデザインコンセプトは、

特に高速で流体の中を移動する工業製品にみられるものですが、

サケビクニンの場合はこの目的は高速移動ではなく、省エネや、高い水圧から身を守るためだと思われます。

高速移動というマッチョイズムと、省エネ生活というアンチマッチョ、その一見正反対に見える二つのコンセプトが、

同じような姿に帰結するとは、何とも興味深いことと思います。

 

サケビクニンの動画

 

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