「ハダカイワシ」は普段見かけることの少ない深海魚です。その最大の特徴は「発光」するという珍しいものです。実は世界中に分布しているのですが、なじみのない「ハダカイワシ」、今回の記事ではそんな魚の特徴について調べてみましょう。
この記事の目次
ハダカイワシの名前の由来は?分類とは?
ハダカイワシは「裸鰯」と漢字では書きます。この名前の由来は、ハダカイワシは鱗がはがれやすいことから、網にかかるとすぐに鱗が取れてしまうことから来ています。
英語名は「ランタンフィッシュ」といい、これは体が光る様が「ランタン」(灯り)に似ていることからつけられた名前です。「イワシ」という名前がついていますが、イワシの仲間との親類関係は無いようです。
ハダカイワシの外見の特徴は?
ハダカイワシはとても細く、2~30センチの小さな体で、体は銀色のうろこで覆われています。体の色は住んでいる海の深さによって若干違い、浅いところに住んでいる種は青や銀色ですが、深いところに住んでいる種はより黒が深くなります。
楕円形の目はとても大きく、頭のほとんどは「目」で構成されていると言ってもよいでしょう。ヒレは小さめで、背ビレは高く、尾ビレは二股になっており泳ぐとゆらゆら揺れており、どちらも小さめのサイズで主張は小さいです。
ハダカイワシは発光する!
ハダカイワシの最大の特徴は「発光する」ことです。ハダカイワシには「発光器」がついており、これは頭と体の腹の外側に並んでいます。特に脇腹のあたりに発光器が集中してついています。
発光器は青、緑、黄色の光を発し、その点灯には種ごとにいくつかのパターンがあるようです。また、オスとメスとでも発光パターンは異なるようです。
ハダカイワシはなぜ光るのか?
ハダカイワシはそもそも何故光るのでしょうか?
正確なことはまだわかっていませんが、いくつかの説があります。種ごとに発光器の位置やパターンが異なることから、種の群れでのコミュニケーションに発光を利用していると考えられます。
また、オスメスでパターンが異なるので、求愛行動にも関連しているのでしょう。外敵からのカモフラージュとして発光していることも考えられます。これは「カウンターイルミネーション」と言われる方法で、自らの光の明るさを調整し、周囲の光のレベルと合わせることにより、敵から見つかることを防ぐことができます。
いわばハダカイワシの発光は「迷彩」のような働きをしているのです。
時間によって住む場所を変える?
ハダカイワシは時間によって住む場所を変えています。日中は深いところ(水深1000メートルくらい)に住んでいますが、夜になると10から100メートルくらいの浅い場所に移動します。
これはプランクトンの移動パターンと同じであり、夜は浅い場所で食事をし、それを終えると暗い場所にもどっていくのです。これは他の動物からの捕食を防ぐ役目もある行動です。これを「日周鉛直移動」といいます。
いろんな動物のエサになっている
苦労して捕食を避けているハダカイワシですが、他の動物からは格好の獲物のようです。ハダカイワシは数が多いことから、マグロやサメなどの大型の魚類、ペンギンなどの鳥類、クジラなどの哺乳類などいろんな動物のエサになります。また、海の浅いところで作られたエネルギーを深海に運ぶ役目を果たしているとも言われています。
人間は食べられるの?
水産物とはあまりメジャーではないハダカイワシですが、資源量も多く、世界中の海で獲れることから、食べている場所もあります。特に底引き網漁が盛んな愛知、三重、高知などでは食用とされています。
干物は「やけど(火傷)」と言われ、焼いてたべると病みつきになってしまうそうです。すぐに鱗がとれてしまうことから、三重県などでは「ストリップ」という名称でも呼ばれています。
ハダカイワシは水族館で見られるの?
前述の通り、ハダカイワシはすぐに鱗が取れてしまいます。そのため、鱗のついた完全な状態を見ることは海に潜らない限り非常に難しいです。水族館などでも取り扱っている所を見つけることはできませんでした。
YouTubeなど動画配信サイトでは見られるので、確認してみてください。
まとめ
ハダカイワシの発光はいろんな役目があるそうですね。人間にはない特徴なので、どのような経緯でそのような感じになったのか、興味深いです。
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