あこがれの「爆殖」を実現するために、まずはエビたちが抱卵する条件を知っておきましょう。
抱卵のために大切な要素や、意外なテクニックもご紹介します。
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エビたちが安心して繁殖できる環境作り
第一に必要なのは、エビ、シュリンプたちが元気でいる水槽作りです。
ろ過が機能し水質が弱酸性で安定している(水替え頻度が少ない)、
季節を問わず高水温(27度以下がめやす)にならず一定している、
底砂の間に微生物や藻類が発生しており餌が豊富にある、といった環境作りが大切です。
どんな水槽でも実現可能ですが、やはり水量が多く水質変化の少ない、
ある程度大きな水槽を用意する方が確実でしょう。
ここに成熟した雌雄のエビ、シュリンプたちを複数匹泳がせることで、抱卵の環境が整います。
稚エビを食べてしまう他魚との混泳はNGです。
餌の質にこだわる
どんなに水槽内の環境を整えても、肝心のメス個体が未成熟では抱卵を期待できません。
生育途中の頃から、メスの卵巣を発達させる効果があるとされるカルシウムなどを豊富に含んだ、
シュリンプ繁殖用フードを与えておくのはよい方法です。
エビ類の発育に必要なミネラルなどの成分が揃っているので、
パウダー状のものは稚エビの餌としてもうってつけです。
冷凍アカムシなど栄養価の高い餌も、エビたちの成長、肥育に有効です。
水質や月の満ち欠けが抱卵のトリガー?
エビ類は「気づいたら抱卵していた」というケースがとても多いのです。
たとえば野性のミナミヌマエビの産卵期は春~夏ですが、
安定した環境を保ちやすい水槽内では年間を通じて繁殖行動が見られます。
そのため、繁殖時期を特定するのは難しいのです。
産卵行動のトリガーとされる要素はいくつかあります。
ひとつは水質。
いつもより多めに水替えをした後、オスたちが激しく踊りまわるように泳ぎ始め、
その後メスの産卵活動が始まったという話をよく聞きます。
換水=季節の変化とエビたちが判断し、本能的に繁殖行動に移るためです。
ただし、水質や水温の急変は大きなストレスになりえますから、狙って行うのは難しいところ。
他にも月の満ち欠けや光量の変化も繁殖行動に関係していると言われていますが、
因果関係ははっきりしていません。
やはり、気がついたら抱卵しているような安定した環境を長期間保つのがコツなのです。
エビ用の繁殖促進剤を使う
エビ類の多くは、メスが脱皮した直後に交尾を行います。
脱皮直後のまだあまり動けない状態のメスに、オスがしがみつくようにして交尾します。
エビにとって脱皮直後は一番弱く危険な状態。
ふとしたはずみで傷つき出血すると、たくさんのオスが血の匂いに引かれて集まり、
交尾どころか共食いに発展することもあります。
交尾→抱卵のプロセスを上手く行わせるためには、まずスムーズに脱皮を成功させることが大切です。
殻の主成分であるキトサンを豊富に含んだ、
エビ用の成長・繁殖促進剤を定期的に用いるのもひとつの方法でしょう。
あえて「外敵」を入れる
安定した水槽で既に何世代も繁殖を繰り返しているが、
だんだん歩留まりが悪くなっていく、というベテラン・ブリーダーさんの声をよく聞きます。
はっきりした原因は分かっていませんが、
水槽と言う限られた個体数の中で交配を繰り替えすと徐々に繁殖能力が低くなっていくのかもしれません。
ひとつの対策として、水槽内にあえて熱帯魚を入れている、という方もいます。
上でもご説明したように、稚エビが食べられてしまうので、
繁殖を目指すのであれば他種のシュリンプや魚との混泳は避けるべきです。
しかし、シュリンプたちに適度なストレスを与え、
本来の繁殖能力を高めさせる意味で、あえて魚を同居させるという手段もあるのです。
シュリンプたちは魚によって子孫を減らされないよう、
これまで以上に積極的に繁殖すると言われています。
タンクメイトとなる魚は、エビ類にとって害の少ないコリドラスやオトシンクルスが望ましいでしょう。
ブリーダーさんたちの経験則から生まれたアイデアではありますが、
繁殖力の低下に悩んでいる方は試してみてもよいのではないでしょうか。
抱卵したらすぐ隔離
抱卵するとメスの腹部に黒っぽい卵が見えてきます。
ウィローモスなど稚エビの隠れ家となるものがたくさんある水槽なら、
放っておいても約1ヵ月後には稚エビが見られるようになりますが、
歩留まりを高めたいなら抱卵の時点でメスを隔離してしまいます。
隔離水槽には必ず本水槽の飼育水を移しておきましょう。
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