エロンガータリクガメ(Indotestudo elongata)は
甲羅の長さ(甲長)が36㎝程度になる中型のリクガメです。
中国では黄頭陸亀とも表記されるようにリクガメ類には珍しく、
頭が黄色っぽいというか、白っぽいのも特徴です。
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エロンガータとは細長いの意味
ちなみにelongataという学名表記はelongated、細長いという意味です。
結構、他の生物でも見られ、ニシンの仲間であるヒラIlisha elongata、
日本にも分布するタイワンクツワムシ(Mecopoda elongata)などにも使われます。
確かにほかのリクガメに比べて細長い印象ですが、
アカアシリクガメChelonoidis carbonariaの甲羅よりは短いような気がします。
東アジアから南アジアの一部まで広く分布
本種は中国に主に中国南部、ベトナム、東南アジア、
さらにネパールからバングラデッシュに広く分布しています。
近い仲間はインドのトラバンコアリクガメ(Indotestudo travancorica)、
そしてなぜか分布の離れたインドネシアの
スラウェシ島にはセレベスリクガメ(Indotestudo forstenii)がおり、
Indotestudo属は合計3種からなるリクガメです。
セレベスリクガメは大航海時代に持ち込まれた可能性があるそうで、
船員が持ち込めて増えるほど現地には多くいて、
簡単に捕まえることが出来たのかもしれませんね。
今ではIUCNのレッドリストでは野生下で二番目に絶滅の危険のある
「絶滅危惧種」に指定されるほど減少しています。
(トラバンコアリクガメ 写真引用元:wikipedia)
多様な環境に生息
広い分布域ということは生息環境も多様であると考えられます。
実際にエロンガータリクガメは主に低山地や丘陵地に広がる中湿性から
乾燥した落葉熱帯林に生息しています。
竹林や草地にも見られ、高温高湿の落葉広葉樹林にも見られますが、
トラバンコアリクガメやセレベスリクガメと異なり、
降水量の多い常緑性熱帯雨林には生息しないようです。
このような生息地ですから、乾燥していたり、湿っていたり、寒かったり、暑かったりします。
そのためなのかもしれませんが、エロンガータは環境の変化に非常に強く、
熱帯域に分布しながら、20℃を切っても普通に動き回っていることもあるようです。
乾燥にも強いのも特徴です。
もちろん、25℃以上で湿度の高い時期は活動がかなり活発になります。
そして森林性のカメだからなのでしょうが、多分紫外線要求量もかなり少なくて済むと思われます。
安価であった過去は粗雑な扱い
今から30年くらい前には確か1頭1万円から1万5千円くらいだったように思います。
本種に限らず、アジア産のカメは軒並み一万円未満と安く扱いも粗雑であったように思います。
ここ最近はどうなっているかわかりませんが、
10年ほど前の中国南部の食品市場で芋のようにごろごろと入れられている写真は
爬虫類雑誌のビバリウムガイド誌などで紹介されており、
結構普通にいるのかなと思わされました。ただ最近は輸入量他のカメと同様に価格も上がり、
輸入も定期的ではなくなり、急騰というほどではないもののちょっと手が出しにくくなっています.
雑食?
本種はリクガメでは珍しく、肉類や配合なども好みます。
しかし、当然与えすぎはよくなく、葉物野菜や果物を中心に与え、
肉類は月に何回か程度と考えたほうが良いと思われます。
うちで飼っているペアは意外と少食ですが、
バナナやイチジクなどの果実類より、煮たかぼちゃやプチトマトをよく食べます。
孵化までは6か月近く
産卵は年に1から2回ほどあり、一回の産卵で1~7個を産みます。
人工孵卵時での孵化までの期間は96日から165日と、長い場合は6か月近くになります。
この間,温度や湿度を一定にしなければならず、
そのあたりが殖えにくい要因になっているような気がします。
現地でも6か月くらいになればそれなりに季節が変化するはずで、
ひょっとすると温度はそれほど神経質にしなくてもいいかもしれません。
リクガメの中では比較的多くの産卵例があるようで、私も目指している一人です。
飼いやすいリクガメ
このように殖やすのはそれなりに技術が入りますが、
単に飼うだけならこんなに入門者向けのリクガメはいないでしょう。
温度も湿度も紫外線も食べ物も気を使う必要がありません。
リクガメを飼うというより、セマルハコガメのような陸生水ガメっぽい方法で飼うことが出来ます。
ただ、先述したように絶滅危惧種にも指定されているため、
入手したら大事にしていくことが大事だと思います。
—はじめてのカメと暮らし方—
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