プラテミスPlatemys platycephalaは和名でヒラタヘビクビガメと呼ばれ、
二亜種を要し、ズアカヒラタヘビクビガメPlatemys platycephala platycephalaと
セグロヒラタヘビクビガメPlatemys platycephala melanonotaに分けられます。
基亜種の前者がアマゾン川水系の中下流域に分布し、
後者はペルー及びエクアドルのアマゾン川に分布しています。
和文の本を見ると、後者は前者に比べて全身の色彩が暗色で、
背甲、橋の暗色部分の割合が高いと書いてありますが、
特に背側の写真を並べられても「そうかぁ?」という感じで明瞭には区別できないように思います。
私は後者のセグロヒラタを飼っているのですが、
他所でよく見る基亜種と明らかに違う点は、
頭部の模様である黒と黄色のコントラストがはっきりしているというところではないかと思っています。
今は見ることが出来ないようですが、海外のサイトで両亜種の繁殖レポートがあり、
その中でセグロヒラタの頭部はコントラストが明瞭で、裏返すと確かに橋の部分に暗色斑があり、
一見して両者の判別はできました。ただ、先述のように両者の分布は詳細がわからないものの、
ある程度連続しているわけで、中間的なタイプも多数輸入されている可能性があると思います。
また分布の端っこにいる個体群を並べれば差が見いだせても、
分布域全体で採れた個体群を並べたら意外と
形質が連続して亜種に分けるほどでもということがあるかもしれません。
もっとも、調べたら二亜種以上に分けられることもあるとは思います。
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曲頸亀
曲頸類は南米大陸、アフリカ大陸、オセアニアに分布するカメの一群で、
ユーラシア大陸や北米大陸のカメと異なり、首を横にたたんで甲羅に閉じ込めます。
ヒラタヘビクビガメと和名にあるように非常に甲羅が低いカメで、
クロハラヘビクビガメが属するAcanthochelysと
同様に何故か甲羅の中央部(椎甲板)がへこんでおり、
異質な印象を受けるカメの一種です。
実際にクロハラヘビクビガメらにも近いようです。
ただ、ヘビクグガメとついていますが首がクロハラや他種の曲頸類に比べても相当に短く、
「蛇首」ではないように思います。
ややヤマガメちっく
本種は他の水生傾向の強い曲頸類と異なり、どちらかと言えば熱帯雨林内の細流や水たまり、
沼地などの比較的浅い場所を好むようで、泳ぎもそれほどうまくありません。
ミズガメというより、セマルハコガメのようなヤマガメととらえてもよさそうです。
ただ、わずかな水場でも問題ないセマルやアメリカハコガメと比べるとより水への依存度が高く、
舌の構造からも水中で餌をとるようになっており、
飼育の際は浅い水場と甲羅干しできる場所と半々に用意してあげる必要があります。
私のところは60㎝の水深の浅いらんちゅう水槽を用い、半分を大磯砂にして煉瓦で囲い、
半分を5㎝位の水場にして飼っています。
温度は飼育当初、水中にヒーターを入れ、天井部には遠赤外線ヒーターを付けていましたが、
浅い水中にヒーターを入れるのが火事のおそれがあったので、
最終的には遠赤外線ヒーターだけでやっています。
この方法で水温15℃くらいでも平気で餌を食べていますので、
南米のカメではありながらそれなりに温度耐性はあるものと思われます。
ただし、購入後いきなり低温にさらしてはいけません。
プラテミスの餌は配合を中心に
餌は何でも食べるようですが、我が家のペアは脂身の少ない鶏肉類、
魚などの生もの以外はかたくなに配合に餌付きませんでした。
何年かかけて配合に移行させましたが、
メーカーにより食う食わないがあり、結構手間がかかっています。
このような偏食傾向にありながらすでに10年以上飼育しているので、
もしそのような個体を買うことになっても焦らず付き合っていけばよいでしょう。
プラテミスの繁殖
一部の方では本種のコンスタントの繁殖に成功されており、
私のところも交尾と産卵まではするのですが、水中卵だったり、
卵の保温設定がまずかったりとうまくいきません。
いったん低温にさらすというのが良いようです。
このあたりのコツをクリアできれば繁殖も夢ではないかもしれません。
ただし、孵化までの期間は6か月と季節も大きく変わるので保温はそれなりに大変なことになるでしょう。
小型なため、60㎝水槽でペア飼育でき、保温もそれほど気を使うことなく、
産卵も狙える本種は飼育向きの曲頸と言えると思います。
—はじめてのカメと暮らし方—
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