ゾウギンザメは変わった外見を持つ魚で、主にオーストラリアで見られます。実はこの「ゾウギンザメ」研究の結果、人類にとって有益な情報を握っていることが判明したのです。
また、ゾウギンザメには他の魚には見られない特徴もある興味深い生き物です。今回の記事ではそんなゾウギンザメの特徴を調べてみたいと思います。
この記事の目次
ゾウギンザメはあまり見られない魚
ゾウギンザメは限られた地域にしか生息していません。生息地はオーストラリア周辺やニュージーランドの水深0から200メートルの海に住んでいます。ただ、ニュージーランド周辺のゾウギンザメは、オーストラリア周辺の個体群とは全く同じではない、という研究もあるそうです。
体長はオスで50センチ、メスで70センチ程度ですが、大きい個体になると1メートルを超えてくるそうです。寿命は長く、15年程度で犬や猫と同じくらいですね。
ゾウギンザメは変な形の鼻!
ゾウギンザメの外見的特徴の一つは、その個性的な「鼻」です。フックのような奇妙な形をしており、一見すると泳ぐのに邪魔に見えます。しかし、このフックは「吻端(ふんたん)」といい、弱い電波や磁場を察知することができる「感覚器官」が備えられているのです。この奇妙な鼻のおかげでゾウギンザメは容易に餌(小魚など)を見つけることができるのです。
ゾウギンザメは色の区別もできる
ゾウギンザメには色を感じることのできる細胞「錐体細胞(すいたいさいぼう)」が3つ備わっています。これは人間と同じ数であり、ゾウギンザメは我々と同じように色を感じている可能性があります。ちなみに魚類、爬虫類、鳥類、両生類などには4つの錐体細胞があると言われており、かれらは紫外線まで認識できると考えられています。
ゾウギンザメの鋭い背ビレ
体は光るような銀色をしており、ゼブラ柄の模様がとてもおしゃれです。泳ぐときは胸ビレを左右に動かし、ゆらゆらとゆったりと泳ぐ姿が優雅です。そして目立つのが背びれトゲです。
この背ビレのトゲはとても鋭く、毒があるとも言われていますが、今まで深刻な被害は発生していません。2012年、ニュージーランドで10歳の少年が釣りをした際に、ゾウギンザメを捕獲しました。この時、ゾウギンザメのトゲが彼の胸に突き刺さってしまったのです。しかし、治療の結果少年は助かり、後遺症もなかったそうです。
ゾウギンザメは人類を救う?
2014年、ゾウギンザメの全ゲノムが解析されました。「ゲノム」とは「遺伝情報」の事で、これを解析することによりその生物の遺伝子がどのような特徴を持っているか分かるのです。
研究の結果、ゾウギンザメは脊椎動物の中でも「最も原始的」な特徴を持っているということが明らかになりました。4億年近くその姿を変えていないということです。これにより、ゾウギンザメを詳しく分析すれば、人類の進化の過程などがわかるかもしれません。また、免疫力の高さも発見され、これを応用すれば人類の体の難題も解決できるかもしれませんね。
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ゾウギンザメは釣りで大人気
ゾウギンザメは春から夏にかけて釣りの対象になり人気となっています。また、漁業でも網を使って獲られることがありますが、あまり値段は高くなく、商業的価値は低いそうです。
しかし、その肉は所謂「白身魚」として知られ、ニュージーランドでは「フィッシュアンドチップス」の「フィッシュ」としてとてもポピュラーな食べ物となっています。
ゾウギンザメは日本で見られるのか?
前述のとおり、ゾウギンザメは限られた地域にしか生息していないため、野生のものを日本で見ることはできません。また、飼育方法も確率されていないため、なんと日本では2か所の水族館でしか見ることができません。
1.東京都豊島区「サンシャイン水族館」
豊島区の「サンシャイン水族館」ではゾウギンザメを見ることができます。展示が始まったのは2019年からで、翌年には日本で初めてのゾオウギンザメの「孵化」に成功しました。
赤ちゃんは15センチほどの大きさでとてもかわいいのですが、現在は見ることができません。動画には残っているので、確認してみてくださいね。
2.大阪市「海遊館」
大阪市の「海遊館」では2019年からゾウギンザメの展示が始まっています。餌を与えてもなかなか食べてくれず、飼育にはとても苦労したようです。
まとめ
意外と謎の多い「ゾウギンザメ」。今後の研究によって人類にどのような影響を与えるのか楽しみですね。
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