アクアリストにとって水槽の中の環境をいかに整えておくのかという事はとても重要な課題です。
いくどとなく飼育水の白濁などには何度となく苦労をされた方も多い事でしょう。
そしてこのような水質環境の悪化に時に頼りになるのは「濾過バクテリア」です。
目で見る事の出来ない存在でありながら、
その効果は素晴らしく飼育水を透にして見えやすくするだけではなく時には病気の予防までしてくれるという優れモノです。
しかし、その「濾過バクテリア」が突然、目に見えるようになる事があります。
それが「バイオフィルム」という状態になった時です。
「バイオフィルム」の正体
「バイオフィルム」というのは「濾過バクテリア」などの微生物が数多く集まって形成された集合体です。
フィルムというように薄い膜のようなものであり、水面に浮かんでいたりする事もありますが、
多くの場合は濾過機の中等に形成されている事が多いものです。
「濾過バクテリア」の集合体である事から考えると水質を良くしてくれる為の素晴らしいものとして考えるのですがそれが、
時には信じられないような姿となって現れる事もあるのです。
これは、先日我が家のある水槽の一部の写真です。
お分かりになるでしょうか?
上部濾過機の給水パイプに取り付けてあるストレーナカバーにまるで雪が降り積もったかのように白い異質の物体が付着しています。
同様に次の写真もご覧ください。
先ほどの水槽と同条件で使用している水槽にも同じように白い物体が付着しています。
まるで、濾過マットを引きちぎって水槽の中へと落としたかのようにもみえます。
この二つの水槽の状態を見る限り、多くの方は水替えして飼育水を立てなおす事をお考えになるのが普通でしょう。
しかし、両水槽ともに水質は安定しており魚たちも元気です。
つまり、飼育水としては良い環境にあるのですが何かの原因でこの異物が水槽内に発生してしまったと言う事です。
ちなみのこの水槽は二つとも春先のディスカスペアリングに備えて、高栄養給餌をしているのです。
ここでこの現象の原因が分かった方もおられるのではないでしょうか。
「バイオフィルム」の爆殖の原因
このストレーナカバーを覆っているのは、「濾過バクテリア」の集合体である「バイオフィルム」です。
しかし、通常ではこんなにも増えるものではありません。
まして、我が家では週一に水替えや濾過機の清掃を行っています。それなのになぜ?
答えは、ディスカスペアリングに備えて、高栄養給餌をしていた事にあります。
この高栄養素給餌を行うとそれは水中の「富栄養化」を加速させたのです。
「富栄養化」は水中の濾過バクテリアをも異常な速さで繁殖させ結果としてこのような状態へとなってしまったのです。
見た目が悪いだけであれば、このまま放置しておいて状態の完全を待つというのが定石でしょう。
しかし、この時はそれを待つ時間が無かったのです。
「水流への影響」
これは先ほどのストレーナカバーを水槽から出したものです。
かなりびっしりとストレーナカバーを覆っている事がお分かり頂けるのではないでしょうか。
そして、これは給水パイプの底を外してみた写真です。
ちょっと暗くて見えにくいのですが、
「バイオフィルム」が水流をさえぎって流れを悪くしてしまっている為にパイプの内部に老廃物が付着してきています。
「富栄養化」が進んだ水中ではこの老廃物が原因となり水質の悪化を招く事が心配されます。
そしてごく普通に水替えをしただけではこの原因が改善されていないので同じ事の繰り返しになったり、
豪快な水替えをして水槽の環境を乱してしまう事も予測されます。
このような事態になった場合の対応策を続きでお話したいと思います。
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この記事を書いた人:EmiJah
自己紹介:
なんのかんので10年の熱帯魚歴になってしまいました。現在のメインは「ディスカス」。繁殖した、子ディスカスも元気に育っています。
好きな熱帯魚:
ディスカスを筆頭に淡水魚全般、魚以外も・・・。