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ダイオウグソクムシの寿命はどのくらい?謎の生き物の生態に迫る

2022年4月29日

ダイオウグソクムシ7f

 

見た目は完全にクリーチャー(怪物)のような「ダイオウグソクムシ」。日本のとある水族館では「絶食」していてもしぶとく生きていたことが話題になったこともありますよね。

 

そんなダイオウグソクムシ、普段見かけることは少なく、謎の多い生き物です。今回の記事では「寿命」など、ダイオウグソクムシの生態に迫ってみたいと思います。

 

 

エビやカニの遠い親戚であるダイオウグソクムシ

ダイオウグソクムシ9f

 

ダイオウグソクムシは英語では「バシノムスギガンテウス」というカッコイイ名前で、「ワラジムシ、フナムシ」などが所属する「等脚類」の仲間です。海生甲殻類の一種でもあるので「エビ、カニ」の遠い親戚でもあります。原産はメキシコ湾、カリブ海などの西大西洋の深さ310メートルから2140メートルの冷水域に生息しています。

 

 

 

ダイオウグソクムシは迫力の大きさ

ダイオウグソクムシ13f

 

「等脚類」はたいてい人間の手のひらサイズですが、ダイオウグソクムシはその大きさが迫力を見せています。大きさは20センチから40センチほどが主流で、大きいものになると50センチを超えてきます。

 

ダイオウグソクムシのサイズが大きいのは「深海巨人症」と言われるもので、深海に生息する「無脊椎動物」(イカなど)は体が大きくなり、寿命が長くなる傾向が強いのです。「深海巨人症」の原因はあまりよく分かっておらず、低温や捕食される確率の低さ、食糧不足による代謝の良さ、などが上げられるようです。

 

 

ダイオウグソクムシの体の特徴

ダイオウグソクムシ4 f

 

ダイオウグソクムシは一般的な甲殻類と同じく、頭、胸部、腹部の3つの領域で構成されています。頭部には黒い「複眼」がありますが、これは3500もの眼で構成されており、目の後ろに「輝板」と言われる場所に光が当たると、輝いているようにも見えます。7つの関節を持つ足があり、一番後ろの足のさらに先には「遊泳脚」と言われるものがあり、これを用いて泳ぐことができます。

 

 

ダイオウグソクムシは何も食べなくても大丈夫?

 

ダイオウグソクムシは「深海の掃除屋」とも言われ、深海で死んだ魚などの死骸を食べていると考えられています。ただ、きわめて飢餓に強く、三重県の「鳥羽水族館」では2007年から約5年間食べ物を口にしなったという報告があります。

 

 

ダイオウグソクムシの寿命は?

ダイオウグソクムシ 5f

 

ダイオウグソクムシの寿命はよくわかっていません。一説には20年とも長くて50年とも言われています。少なくとも水族館などの飼育下では数十年生きたことはないので、生息している深海ではかなり長生きするのかもしれませんね。

 

 

ダイオウグソクムシの繁殖方法は?

 

ダイオウグソクムシは産卵によって繁殖されます。繁殖は主に春と冬に行われ、メスは交尾中に卵を保管するポーチのようなものを作り、卵が孵化するとそのポーチから幼虫が出現します。その幼虫の姿はすでに成虫に近い姿です。

 

 

ダイオウグソクムシの発見と現在

ダイオウグソクムシ3 f

 

ダイオウグソクムシのオスが発見されたのは1879年。メキシコ湾でミネットエドワーズというフランスの動物学者が捕獲に成功しました。当時は「深海には生物がいない」という考えも多かったため、この発見は大きなニュースになったと言います。

 

メスの捕獲に成功したのは遅れて1891年の事でした。漁獲は難しく、大量に捕獲できるようなものでもないため、商業漁業としては盛んではありません。しかし、台湾北部では食べることができ、その味はエビやカニに似ているのだとか。

 

 

ダイオウグソクムシを見たい!


ダイオウグソクムシは深海に住んでいるので、そう簡単に見ることはできません。しかし、いくつかの水族館では見ることができます。有名なところでは先述の三重県「鳥羽水族館」です。

 

 

 

 

こちらではおそらく世界で初めてダイオウグソクムシの脱皮の撮影に成功するなど、ダイオウグソクムシの飼育で有名な場所です。「新江ノ島水族館」では「国立研究開発法人海洋研究開発機構」と協力し、日本では初めての深海生物の長期飼育の研究をしています。その展示エリアにはダイオウグソクムシもいて、なんと触ることのできる模型もあります。

 

 

ダイオウグソクムシのまとめ

 

 

結局、ダイオウグソクムシについて詳しいことはわかっていません。ただ、寿命という点でいえば、ほとんど食べなくても生きていられるため、寿命は相当長いと考えらえます。なんでも死んだ鳥羽水族館のダイオウグソクムシの死因も「餓死」ではないのだとか。今後の研究がとても楽しみな生物ですね。

 

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